一流ブランドから飛び立つ、現代アートの新たな才能。

時代がターニング・ポイントに差し掛かる度に、アートは新たな側面を見出してきている。コンテンポラリー・アートとコロナ蔓延時代という異質なもののカクテルの中から、どうやらまた新たに内なる宇宙が生み出されたようだ。

「Self-portrait at the Table」photo : Marten Elder Courtesy of the artist and PERROTIN

現代アートシーンを牽引する先端ギャラリー「ペロタン　東京」で11月19日から開幕されている「クレア・タブレ」展のセルフポートレートは、そうした時代的背景のロックダウンの渦中から生まれた作品だというし、このところ息苦しくなってきている現実社会に、精神性の風を吹き込む作品として、すでに世界のギャラリストからも熱い注目を浴びている。

クレア・タブレのポートレート写真

1981年フランスに生まれ、渡米後はＬＡのアトリエを拠点に国際的な活動をしていたクレア・タブレだが、その生命力溢れる活き活きした色彩感覚に、忽ち多くの美術館が関心を示し始め、すでにピノー財団やロサンゼルス・カウンティー美術館、アニエス・ｂギャラリーなどには、彼女の作品が所蔵されているという。

「Self-portrait with George (green) 」photo : Marten Elder Courtesy of the artist and PERROTIN

セルフポートレートの中でも、とりわけ愛犬ジョージを抱きしめている姿は、みる者の心を蕩けさせるし、まるで今にも動き出しそうな、そのぬくもりのある独自のタッチと、柔らかい感触の色調をみていると、つい心を奪われ、癒されてしまう。

「Self-portrait with a Hood (pink) 」photo : Marten Elder Courtesy of the artist and PERROTIN

コロナという苦悩の時代を生きながらも、フードや帽子を被った自画像には、何かに挑みかかるような力強さが垣間見えるし、そこに彼女独特の新しい女性像があるのかもしれない。けしてコロナに負けてはいないのだ。

現在はアヴィニヨンでも個展を開催中だというし、渡米後、国際的に大成したアーティストとして戻ってきたクレア・タブレは、コンテンポラリー・アートのスターとして、母国フランスでも脚光を浴びているようだ。