キャスの東京散歩

喫茶店「こゝろ」で過ごす、ルネサンスな時間。

Hello again!

私は高校時代から日本語を勉強していたのですが、あるひとつの単語だけ理解に苦しみました。「喫茶店」という言葉です。

私の教科書は少し古かったので、翻訳は「café」と書かれていました。でも、日本語には「カフェ」という言葉がすでにあるのに、なぜ違う言葉があるのか分かりませんでした。

日本に来るまでずっとその謎は解けませんでしたが、
ついに何年も私の心の中で引っかかっていた「喫茶店」を訪れ、謎が解明されました。

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喫茶店「こゝろ」は、私が喫茶店に通いだすきっかけになったお店です。東京大学のキャンパスの向かいにあって、大邸宅と小さな本屋の間に位置しています。

中に入ると、ラジオが流れるなかで静かに新聞を読んでいるおじいさんが迎えてくれます。いつも彼は同じ席に座っていて、その姿を見るとほっとします。

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店内には、青と緑の椅子が交互に配置されています。東京大学の学生が多く、勉強したり、ディスカッションしたり、店内の本棚にある本を読んだりして思い思いに過ごしています。

 

メニューを見てみましょう。
ここではホットケーキが名物ですが、私が頼むものはいつも決まっていて、ホットコーヒーとミックストーストサンドイッチ。
サンドイッチには具がギュッと詰まっていて、母の味を思い出します。

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コーヒーとサンドイッチがおいしいのはもちろんですが、多くの人がこゝろを訪ねる理由は2階にあります。普段は使われていないのですが、店主さんに甘い声で頼むと見せてくれることも……?(笑)

 

2階は、タイムマシンに乗ってきたかのような異空間。
壁はグルービーな茶色の紙で覆われていて、常連客によって長年使われてきた座席のほつれは、ハート形のパッチで愛らしく修理されています。

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窓が大きく外の景色がよく見えるので、季節の移り変わりを楽しむにはぴったりです。人の少ない2階席で、静かに、平和に過ごす時間が好きです。

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よく喫茶店には行きますが、常連客で埋めつくされていて、たばこの臭いがきついと入りにくいなと感じるときがあります。
でも、「こゝろ」で入りにくいと感じたことは一度もありません。

ここには、私が求めている「喫茶店」らしさがあります。

先日久しぶりに行ったとき、「また来てくれてありがとう」と店主さんが迎えてくれました。常連客のみなさんほどには通えないですが、たまに立ち寄ったときにこうして温かく迎えてくれるのが嬉しくて、また来たいなと思います。

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「カフェ」と「喫茶店」の違いが、少しだけ分かるようになりました。
やっぱり日本語は難しい。まだまだ勉強が必要です。

キャス

モデル/英語教師
東京在住のニュージーランド人。ファッションとアート、そして空想することが大好きで、レトロな日本に恋する渋い女の子。
Instagram:@akafukuu

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