南仏プロヴァンスで猫さがし。

心温かき「パパベロ」たちの自転車。

愛用の自転車が、壊れました。

フランスで買った、私の中古の自転車は、なぜか簡単にチェーンも外れるし(道が悪くてがたがたしてるから?)、泥除けもないし、スタンド(っていうんでしょうか、自転車を自立させてくれるやつ)もないし、カゴだってもともとついてない。

チェーンが外れればその都度、手を油で汚しながら自分で元に戻して、かごは古もの屋で買った魚釣り用のものを麻紐で結びつけて、私は大満足で乗っていました。

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ふたもついてるし、サイズもぴったりー!と喜んで買ったかごは、魚釣り用のものでした。だから上に穴あいてるんだ。笑

それが突然、チェーンが外れたと思ったら、チェーン周りの部品がぼろっと取れてしまって。

ああ。

これはもう、「パパベロ」のところに持って行くしかない。

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去年、フランス語のコースが始まる少し前、授業の行われる大学まで、どうやって通おう、歩くにはちょっと遠いかなあと思っていたときに通りすがったのが、ボロめの中古自転車ばかりが並ぶ(というか詰め込まれている)パパベロの店でした。

週に2日、水曜と土曜、午後2時から5時までというなんとも短時間営業の、その店。
奥で自転車を修理していたのは、3人のおじいさんズ。その中の最高齢(その頃たぶん88歳)の方が、「パパベロ」(Papa Vélo:Vélo=自転車)と呼ばれるAlbertさんです。

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パパベロは奥で帽子をかぶって作業中。

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聞けば、彼らは壊れて廃車される自転車を譲り受け、自分たちで修理をして、売っていると。そしてその売上金は、西アフリカの国、ベナンの子どもたちのために使われていると。

楽しそうに作業をしながら、生き生きとベナンの説明してくれるおじいさんズにすっかり心をつかまれ、私はそこで自転車を買いました。
私の自転車は、20年間でパパベロが修理して売った、3115台目の自転車なのです。

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そんな思い入れのある自転車なので、ぜひとも直してまた使いたい。そして、フランスを離れる日が来たら、パパベロのところに返しに行きたい。と思っています。直るかな。

ところで、「ツール・ド・フランス」の国フランスですが、日常で自転車に乗って移動する人はとても少なく、オランダはもちろん、ドイツやベルギーの方が割合的にだんぜん多いとか。そういえばリヨンやマルセイユにあるレンタル自転車も、あんまり乗ってる人見かけないかも。

パパベロの店
43 rue Pavillon, 13100 Aix en Provence
営)水・土 14時〜17時

中川史恩

都内在住、猫好きエディター。フランス生まれの保護猫ミャウと暮らす。好きな食べものは帆立の貝柱とチップス全般。苦手なものは直射日光。将来の夢は鶏と暮らすこと。@chez_miaou

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