ロバート・フランク作品が新聞紙に!? 画期的な展覧会。

Culture 2016.11.10

写真と映画の歴史に大きな影響を与えたロバート・フランク。2017年4月には、先日92歳の誕生日を迎えたばかりの彼の活動と時代を収めたドキュメンタリー映画『アメリカンズ ロバート・フランクの写した時代』が上映されることが決まっている。

そんな写真界の巨匠、ロバート・フランクが、STEIDL社の創業者でありアートブック界の重鎮、ゲルハルト・シュタイデルとともに企画した展覧会『Robert Frank: Books and Films, 1947-2016 in Tokyo』が開催される。その展示方法が、何ともユニークだ。

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Robert Frank Tunnel (video still), color and black & white, 4 minutes, 2005 © Robert Frank

フランクのヴィンテージプリントは現在の美術市場で約8,000万円もの値がつき、とても繊細な扱いが求められるため、収蔵するアメリカの美術館は国外への貸出を禁じ、そのほとんどが現在公開されていない。しかし本展では、自身の作品を新しい世代に見てほしいというフランクの思いから、何と写真が廉価な新聞紙に印刷されて展示される。そして展示会場は、東京藝術大学という公共性の高い場所が選ばれ、無料で公開される。この展覧会の原案がフランクの耳に届いたとき、彼はこう言ったという。「安くて、素早くて、汚い。そうこなくっちゃ!」

写真の印刷に用いられる新聞紙は、ドイツ最大の日刊紙 「南ドイツ新聞(SüddeutscheZeitung )」から提供されたもの。そして展示作品は、美術市場との関係を断つというコンセプトのもと、会期終了とともにパフォーマンスによって破棄される予定だ。

161110_robertfrank_02.jpgRobert Frank checking the cover of the Steidl edition of The Americans in Göttingen, 2007 © Gerhard Steidl

本展では他にも、映像作品やSTEIDL社から出版された写真集を展示するほか、フランクがシュタイデルとともにどのように1冊の写真集を生み出すのかを伝えてくれる手紙や素材のサンプルなど、普段は表に出ることのない貴重な資料も公開される。

また今回は、東京藝術大学の学生が展示什器の制作からイベントの企画、広報の手配など重要な役割を担っており、その独特な展示スタイルのみならず、開催に至る過程も、若い世代にとって貴重な教育の機会となっている。

見所が盛りだくさんで画期的な展覧会。ロバート・フランクの作品の数々を、クリエイティブな空間で、思う存分味わいに出かけてみて。

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左:ロバート・フランク 右:ゲルハルト・シュタイデル © Copyright John McCarthy 2014

『Robert Frank: Books and Films, 1947-2016 in Tokyo』
期間:2016年11月11日(金)〜24日(木)
会場:東京藝術大学大学美術館 陳列館
東京都台東区上野公園12-8
開)10:00〜18:00
会期中無休
入場無料
http://steidlxtua.tumblr.com/

 

*関連イベントもチェック!
■新作ドキュメンタリー映画『Don’t Blink - Robert Frank』上映会
日 時:11月23日(水祝)13:00〜(12:30開場)
会場:東京藝術大学 中央棟 第一講義室
定 員 : 先着60名・事前予約制(事前予約についてはwebにて告知します)
参加費無料
映像作家としてのロバート・フランクを追った新作ドキュメンタリー映画『Don’t Blink - Robert Frank』(Laura Israel監督)を2017年4月の日本公開に先駆けて上映します。

 

■鈴木理策 × 松下計 シンポジウム『PHOTO & PHOTOBOOK(仮)』
日時:11月23日(水祝)15:00〜(14:30開場)
会場:東京藝術大学 中央棟 第一講義室
定員:先着150名・事前予約制(事前予約についてはwebにて告知します)
参加費無料
出演:鈴木理策、松下計
写真家の鈴木理策とグラフィックデザイナー松下計が写真集をテーマにシンポジウムを開催します。

 

■クロージングイベント
日時:11月24日(木)19:00 開始
会場:東京藝術大学大学美術館 陳列館
定員:先 着100名・事前予約制(事前予約についてはwebにて告知します)
参加費無料
出演:岡本優、ハラサオリ、マーティー・ヒックス、東京藝術大学コンテンポラリーダンス部、楊博
会期終了とともに作品を破棄するというコンセプトのもと、コンテンポラリーダンスやライブペイント、音、光などさまざまな表現を駆使して展覧会の集大成となるライブパフォーマンスを行います。

 

 

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