そっと心に寄り添う、ジア・マーガレットの歌声。

孤高の歌い手を、哀しみと慈しみが彩る。

『ゼアズ・オールウェイズ・グリマー』／ジア・マーガレット

インパートメント　￥2,268

声を大にして叫ぶわけでもないし、奇抜な手法で気を引くこともない。ただそこに淡々とした歌があるだけなのに、心の琴線を響かせてくれる。ジア・マーガレットはまさにそんなシンガーソングライターのひとりだ。シカゴを拠点に活動してきた彼女の音楽は、ニック・ドレイクやザ・ローチェスなどの内省的なアーティストから影響を受けたという。一聴するだけだとフォークやチェンバーポップのようだが、その裏にはシューゲイザーやアンビエント、トリップホップといったさまざまな要素が見え隠れするのが特徴だ。

とはいえ、彼女の魅力はジャンルを超越した歌そのものだ。メロディを浮き立たせるシンプルなアレンジにのせた、優しく温かみのある澄んだ声は格別。孤独や不安などをテーマにしながらも決して突き放さず、聴き手の心にそっと寄り添う。

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＊「フィガロジャポン」2019年8月号より抜粋