ポール・ボキューズ葬儀に、世界中からシェフが集結。

Culture 2018.04.12

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©Polaris/amanaimages

1月26日、シェフや各界の著名人たちが、リヨンのサン・ジャン大聖堂に参集し、1月20日に死去したフランス美食界の”教皇”こと、ポール・ボキューズに哀悼を捧げた。

20世紀最大の料理人の葬儀が、1月26日朝、リヨンで行われた。国葬を求める声がジャン・アンベールをはじめ多くの著名人たちから上がっていたが、ポール・ボキューズの遺志にそって、簡素な儀式となった。「故人はかなりシンプルな式を望んでいました。コロンジュ(*1)の小さな教会で葬儀を行えればよかったと思いますが、それは無理でした。故人を追悼したいという方がたくさんいらっしゃいましたので」

*1 コロンジュ:「ポール・ボキューズ」本店のある、リヨン郊外のコロンジュ・オ・モン・ドール。

1月26日金曜日朝、フランスのテレビチャンネル、フランス3で放映された、ポール・ボキューズ追悼特別番組の中で、シェフの息子ジェローム・ボキューズが語った。

デュカス、ロブション、トロワグロ、ヴェイラ……。

「私たちはみな心のどこかで父親を失ったような思いでいます。ムッシュー・ポールは不死身だとみな思っていました。彼の偉業は永遠です。ひとりの職人である以上に、あらゆる料理人をまとめる力を持った改革者でした。私たちは土台を、基盤を失ったような気持ちです。私たちみんなが悲しんでいます」と、 早々と会場に到着した弔問客のひとり、白いコックコートを纏ったシェフのフィリップ・エチュベは述べた。

コックコート姿のシェフの中には、ほかに、アラン・デュカス、ジョエル・ロブション、ピエール&ミシェル・トロワグロ、アンヌ=ソフィ・ピック、マルク・ヴェイラ、ギー・サヴォワ、クリスチャン・ル・スケール、ピエール・ガニェール、レジス・マルコン、ミッシェル・ゲラール、アルノー・ドンケル、ヤニック・アレノ、アメリカ人シェフのトーマス・ケラー、
ニューヨークから駆けつけたダニエル・ブリュー、日本各地にあるブラッスリー・ポール・ボキューズのトップである平松宏之らの顔もあった。

国家の代表として、内務大臣で元リヨン市長のジェラール・コロン、外相時代には‟美食外交”の熱烈な支持者だった、憲法評議会議長ローラン・ファビウスが葬儀に参加した。もちろん、サッカーチームのオランピック・リヨネ代表ジャン=ミシェル・オラス、実業家アラン・メリユー、リヨン市長ジョルジュ・ケペネキアンといった、リヨンの名士らも顔を揃えた。ケペネキアン市長は葬儀に参列するに当たって、次のようなコメントを述べていた。「リヨン市の偉大な歴史的人物のひとり、私たちの街、テロワールのすべてを一身に体現した方でした」

コックコート姿のシェフが数百人

葬列は10時30分にリヨンのサン・ジャン広場に到着した。広場は雨にもかかわらず、当地方を代表する大物に最後のオマージュを捧げようと集まった人々で埋めつくされた。葬列は大聖堂の中へ進み、衿にトリコロールのフランス国家最優秀職人章を飾ったシェフたちを含め、白いコックコートを着た数百人もの料理人たちに迎えられた。

葬儀は、バルバラン枢機卿の主宰の下に執り行われ、シェフふたりの”大親友”の弔辞で始まった。まずは、ポール・ボキューズの生涯の友であり、一緒にやんちゃの限りを尽くしたピエール・トロワグロ、次いでムッシュー・ポールとして誰からも慕われたシェフと親しかった三ツ星シェフのマルク・エーベルラン。エーベルランは「料理界は父を失いました」と述べ、こう続けた。「ポール・ボキューズの精神は、コロンジュで、世界中で生き続けます。あなたは不滅です」

会葬者の整列、そして拍手

ポール・ボキューズの親友、ジェラール・コロンが悲しみをあらわにして葬儀を締めくくった。「あなたは永遠に生き続けます。私たちの心に、私たちの精神に、私たちの舌に、あなたの若鶏のモリーユ茸添えの味は残り続けます」。最後に、会葬者が整列して棺を見送ると、列から一斉に拍手がわき起こった。棺に手を触れ、別れを惜しむシェフの姿も多く見られた。正午、棺が大聖堂から出ると、エディット・ピアフの‟愛の讃歌”が大聖堂前広場に鳴り響いた。”何ひとつ後悔はない”、星付きシェフがよく口ずさんでいた、お気に入りの歌だった。

コック服に身を包み、1961年に取得した国家最優秀職人のメダルをかけ、ポール・ボキューズは、コロンジュ墓地にある家族の墓所に両親と並んで埋葬される。埋葬式には200人の会葬者が参列。コロンジュの市役所では半旗が掲げられ、公会堂で住民らが参加する追悼式が行われる。

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texte : La rédaction avec AFP(madame.lefigaro.fr)

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