スタイリスト岡尾美代子が恋したSF映画。

Culture 2018.01.03

スタイリスト岡尾美代子さんが独断と偏見にのっとり、マニアックすぎても伝えたい(!)愛すべきSF映画について語ります。

『未知との遭遇』
マッシュポテト好きは、ここから始まったのだ。

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公開は『スター・ウォーズ 新たなる希望』と同じ年。スター・ウォーズファンの私ですが、どちらかというと当時はこっちのほうが好きだった。リチャード・ドレイファス演じる主人公が脳内イメージのデビルスタワーを表現するために食卓でマッシュポテトを盛り始めるシーンがとにかく大好きで、それを真似したいがためにマッシュポテトを作ったりして(私のマッシュポテト好きはこの映画の影響)。音と光での宇宙人との交信やマザーシップのでんぐり返り、そのほかにも(ストーリーとは関係ないけど)子どもの服や冷蔵庫の食品、太いネクタイとか眼鏡とか、好きなシーンやディテールがいっぱい。

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『未知との遭遇』
監督・脚本 : スティーブン・スピルバーグ
出演:リチャード・ドレイファス、フランソワ・トリュフォー、テリー・ガー
1977年、アメリカ映画 135分

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*『フィガロジャポン』2017年12月号より抜粋

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『 リトルショップオブホラーズ』
憧れの人が演じる、ドSな歯医者に恋しました。

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20代前半にモン・サン=ミシェルへひとり旅をした時に、途中の町で観た思い出(?)の映画。私が観たのは敬愛するフランク・オズ(パペット神。ヨーダのパペット操作も担当)が監督をしたリメイク版。閑古鳥が鳴く花屋で働く主人公シーモアが買った珍しい植物は、宇宙からやって来た植物だった……というストーリーなのでSF映画だと思っていたら、ジャンル的にはミュージカル映画なのだそう。SFミュージカル? 大好きなスティーブ・マーティンのドS歯医者がとにかく最高! チュパチュパと血を吸う植物の動きも素晴らしいのよ。

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『 リトルショップオブホラーズ』
監督 : フランク・オズ
出演 : リック・モラニス、エレン・グリーン、ヴィンセント・ガーディニア、スティーブ・マーティン
1986年、アメリカ映画 94分

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*『フィガロジャポン』2017年12月号より抜粋

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『 2001年宇宙の旅』
キューブリックが描く未来に、むにゃむにゃ……。

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最初は高校時代に名画座で。その後も何度か見ているけど、いつもクライマックスで眠ってしまう。AI、HAL9000の催眠術師のような声と眼、宇宙船内の静けさ、この組み合わせが意識を遠のかせる。そしてふと気付くと場面は不思議な部屋に変わっていて、ボーマン船長はおじいさんになって、死の間際の自分と対面している。ん? ぼんやり頭の私が取り残されている間に映画は終わる。なんなんだ(笑)。でも寝ちゃっても、この映画、最高! そしてキューブリックが60年代に描いた未来は結構正しかったと思う。

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『 2001年宇宙の旅』
監督・共同脚本 : スタンリー・キューブリック
出演 : キア・デュリア、ゲイリー・ロックウッド、ウィリアム・シルベスター、ダグラス・レイン
1968年、アメリカ・イギリス映画 141分

*『フィガロジャポン』2017年12月号より抜粋

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 『 ミクロの決死圏』
突っ込みたくなるほどに、愛おしいB級感。

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子どもの頃は映画館に行くよりも、TVの映画番組を観るほうが多かった。「日曜洋画劇場」の淀川長治、「月曜ロードショー」の荻昌弘といった個性的なコメンテーターたちの言葉をナビゲーションにいろんな映画を観たと思う。『猿の惑星』や『ドクター・モローの島』、そして『ミクロの決死圏』も。人が小さくなって体内に入るというビックリな設定と、サイケデリックな色彩が印象に残っていたけど、あらためて見直してみると「それ無理でしょ」という突っ込みどころ満載な話だった(笑)。真面目に作ったB級感が愛おしくもあるけど。

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『 ミクロの決死圏』
監督 : リチャード・フライシャー
出演 : スティーヴン・ボイド、ラクエル・ウェルチ 1966年、アメリカ映画 100分

*『フィガロジャポン』2017年12月号より抜粋

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『 E.T.』
かわいそうなE.T.。でも、ごめん。笑っちゃったよ。

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映画公開時は19歳。大人が見るには子どもっぽい映画、とティーンエイジャーの私は思ってた(ぷぷ)。ついでに告白すると、川でE.T.が倒れていた時に、映画館で笑っちゃったひどい人は私です。ごめんねE.T.、だって酸っぱい感じだったから(ところでこのシーン、梅干しみたいなE.T.の横にアライグマがいるのですよ。貴重なアライグマ&エイリアンの2ショット)。梅干しE.T.はその後、粉ふきいもみたいになっちゃうけれど、歴代のSF映画の中では君がいちばん愛らしいエイリアンかもしれない、ね。イィ〜〜ティ〜〜。

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『 E.T.』
監督 : スティーブン・スピルバーグ
出演 : ヘンリー・トーマス、ドリュー・バリモア、ピーター・コヨーテ、ディー・ウォレス
1982年、アメリカ映画 115分

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*『フィガロジャポン』2017年12月号より抜粋

texte : MIYOKO OKAO, illustrations:ERIKA KOBAYASHI

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