誕生日パーティの回数だけ年を取る? 子どもの反応は?

Culture 2018.01.12

from Newsweek

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子どもたちは老化をどう理解しているのか。Photo : WebSubstance-iStock.

「年を取りたくないけど、それでもいい?」と言う女性に対する子どもたちの反応は...。

小さな子どもたちの目を通して見える世界は、時に想像を超える解釈を示し我々大人に大きな驚きをもたらしてくれる。

子どもの想像力、認知に関する最近の研究は、「老化」の捉え方について興味深い結果を示している。テキサス大学オースティン校で発達心理学を教えるジャクリーン・ウーリー教授率いるチームは、3~5歳の子どもたちを対象に「誕生日のお話」を通し老化の認知の仕方を調べた。

まず99人の子どもに、誕生日パーティをしない子どもが主人公の物語を読み聞かせてから今度は、1年間で2回誕生日パーティをする子どもの物語に変えた。そして最後に単に3歳になる子どもの話をしてから、それぞれの主人公の年齢を答えさせた。

ウーリーらは当初、研究対象である4~5歳の子どもらの回答は3歳の子どもより優れていると予想していた。これは年に1回の誕生日パーティを開く子どもと開かない子どもの物語に関して言えば想定内の結果だったが、年に2回の誕生日パーティの子ども話になると年齢に関係なく混乱する様子がみられた。

誕生日パーティを2回行う物語で混乱したのは、3~5歳すべての子どもたちの38%。ほかのふたつの物語では簡単に答えを導き出せたのに、物語の主人公の年齢を間違えた。

さらに調査チームはこんな実験もしている。子どもたちに、年を取りたくない女性の話をし、年齢に関する子どもの認識を調べた。話の内容はこうだ。

あるところに学校の先生をしているジャミソンさんという女性がいます。明日はジャミソンさんの誕生日ですが、彼女は年を取りたくなくて死ぬまで同じ年齢でいたいと願っています。ジャミソンさんは嫌でも年を取らなければないのでしょうか。

>>子どもたちの答えは……

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文化的習慣が「認識」に及ぼす影響

この話をしたうえで、子どもたちにこんな質問をした。「ジャミソンさんは年を取らず若いままでいれますか?」と。すると、3歳の子どもの71%は「年を取らない」と答えた。

これまでも、子どもたちが成長するに従って周囲の出来事をどのように認識、理解していくのかというテーマに多くの研究者が向き合ってきた。生き物が生物学的に年を取るという概念については1980年代の研究で、3歳の子どもでも「成長」を理解することが示された。

今回の調査では生物学的な事象に文化的習慣が重なった場合に、子どもたちがどのような考え方をするのかが見えてきた。そして、やはり子どもの信じる力と素直さを再確認してしまう。童心に帰れば、永遠の若さを手に入れるのも夢じゃないかもしれない。

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ニューズウィーク日本版より転載

文 : ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

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