9年間に9度死にかけた少年をめぐる心理サスペンス。
Culture 2018.02.07
眠れる海の美少年の意識が、不可解な出来事の扉を開く。
『ルイの9番目の人生』
まずは難産、続いて天井から寝台にシャンデリアが落下。さらに感電、食中毒、と少年ルイは8度も死にかけた。そして9歳の誕生日、両親と行楽中に崖から転落、長い眠りに入る。事故か、事件か。背後に潜むのは自傷癖か、虐待か。疑いにかられた担当医アランが謎を追う。昏睡状態のルイの意識が私たちに語りかけ、罠にかかりそうな誰彼に渾身のシグナルを送る。そんな趣向がどんでん返しの局面をもたらす異色ミステリーだ。孤立無援のルイが庇護を求める場が明かされる、神経戦の末のメルヘン的な情景も素敵。
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*「フィガロジャポン」2018年2月号より抜粋
réalisation : TAKASHI GOTO