「デトロイト騒動」を題材にしたビグロー監督最新作。

Culture 2018.03.17

モータウンサウンドに華やぐ、歓楽の場が煉獄に変わる全容。

『デトロイト』

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ベトナム帰還兵を祝う黒人街の深夜酒場に白人警官が突入。横柄さに一部市民が積もる怒りを破裂させ、「デトロイト暴動」は数日間、街を略奪、放火の混乱状態に陥れる。そのカオスの経緯をひと息に描き出す導入部で主要人物を巧みに紹介。アクティブな女性監督が視点を据えるのは、黒人宿泊客がおもちゃの銃を戯れに発砲したことから街のモーテルが凄まじい粛清の場と化す、1960年代秘話の閉域だ。州兵が傍観し、市警の尋問が度を越してゆく人種偏見の地鳴りが、21世紀の突端に立つ私たちの足元を揺さぶる。

『デトロイト』
監督/キャスリン・ビグロー
2017年、アメリカ映画 142分
配給/ロングライド
TOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開中
www.longride.jp/detroit

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*「フィガロジャポン」2018年3月号より抜粋

réalisation : TAKASHI GOTO

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