フィガロが選ぶ、今月の5冊 友達も彼氏もいないアラサー女性が、解き放たれるまで。
Culture 2018.06.03
30代独身で彼氏ナシ友達ナシ、不器用なエレノアに共感必至。
『エレノア・オリファントは今日も元気です』
ゲイル・ハニーマン著 西山志緒訳 ハーパーコリンズ・ジャパン刊 ¥1,620
30歳独身。経理部で事務をしているエレノア・オリファントの毎日は同じことの繰り返し。空気も読めず、友達も彼氏もいない。家に帰ったらラジオドラマを聴いて、週末はウォッカを飲んで眠るだけ。こじらせたアラサー女性が運命の出会いを機に“自分を変えたい”と奮闘する、ありがちなラブコメのようなイントロに侮るべからず。毎週水曜にかかってくる母親からの電話。しだいに明かされる過去。自分は誰も愛したことがない、愛されたこともないと思っていた、ひとりの女性が解き放たれるまでの物語に感涙必至。
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*「フィガロジャポン」2018年5月号より抜粋
réalisation : HARUMI TAKI