ジョージア映画の巨匠の三部作が、日本初公開。

Culture 2018.09.21

隣人を認めない視野の狭さを、映画の原型的な美が撃ち抜く。

『祈り』

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コーカサス山脈に抱かれた隣村同士、キリスト教信仰の村とイスラム教信仰の村は昔から争いが絶えない。あちらの勇敢な戦士を弔おうとすれば、こちらの村の掟に背いて裁かれ、こちらの迷子の旅人をもてなそうとすれば、あちらの長老が黙っていない。ジョージア(旧グルジア)映画を世界に押し上げた名匠アブラゼの三部作の、長らく日本未公開だった一編だ。エイゼンシュテインに連なるサイレント映画の美と力感が、民族がつちかう叙事詩の言葉と溶け合う。いまも続く不寛容を撃つ、追放と受難のフォークロア。

『祈り』
監督・共同脚本/テンギズ・アブラゼ
1967年、ジョージア映画 78分
配給/ザジフィルムズ
岩波ホールほか全国にて順次公開中
www.zaziefilms.com/inori3busaku

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*「フィガロジャポン」2018年9月号より抜粋

réalisation : TAKASHI GOTO

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