意志と知性のお婆ちゃんの、硬派痛快ドキュメンタリー。

『RBG 最強の85才』

相続権、妊娠中絶、賃金差別など、1970年代以来、弁護士時代からルース・ベイダー・ギンズバーグは女性の権利向上の新しい地平を拓いてきた。93年にクリントン大統領から最高裁判事の指名を受け、いまだ現役。「ポスト・トゥルース」時代の風圧を受けた男がひしめく法曹界の頂点で、穏やかにして敢然と反対意見を述べ続ける彼女は、TV番組「サタデー・ナイト・ライブ」のモノマネ芸をも涼しげに許容し、ついに全米のポップアイコン的人気者に。気品とユーモアがにじむその一代記。内助の功に徹した元弁護士の夫との掛け合いも愉快だ。

＊「フィガロジャポン」2019年6月号より抜粋