ロイヤルベビーが8代にわたって着用した、洗礼服の秘密。

5月6日、ハリー王子とメーガン妃の間に男の子が誕生した。この機会に、英国王室のベビーたちが継承してきた長い伝統についての話題をお届けしよう。実はウィリアム王子の次男ルイ王子も、姉のシャーロットも、兄のジョージも、もっと前にはハリー王子もウィリアム王子も、洗礼式の時には代々同じ衣装に身を包んできたのだ。英国王室に伝わる洗礼式用ドレスの歴史はヴィクトリア女王（1819-1901年）の時代にさかのぼる。生まれたばかりのロイヤルベビーも、この衣装を受け継ぐに違いない。

ルイ王子の洗礼式での、ケンブリッジ公爵夫人キャサリン。（イギリス・ロンドン、2018年7月15日）photo：Abaca

最後にこのドレスが着用されたのは去る3月18日。チェリントンの聖ニコラス教会の親密な雰囲気の中、ザラ・フィリップス（アン王女の第二子でエリザベス女王の孫）と夫マイク・ティンダル夫妻の第二子であり、当時ロイヤルファミリーの最年少ベビーだったレイナ・ティンダルの洗礼式が執り行われた。いとこのシャーロット王女、ルイ王子、ジョージ王子ほどはメディアから注目されない王室の末っ子だが、彼女の身を包んだ洗礼服は、いとこたちが着たのと同じドレス。この時も、しっかり伝統は継承されていた。

刺繍の施された丈の長い白い洗礼式用ドレスは、彼女の代父ハリー王子も30数年前に着用したもの。ロイヤルファミリーにおいては、マナーは誰もが守らなければならないが、新生児も例外ではない。洗礼式の際、新生児はヴィクトリア女王の時代から伝わる衣装を着用することになっている。ただし正確に言うと、現在使用されているものはレプリカということだが。

ウェディングドレスに着想を得た洗礼服。

1840年2月10日にアルバート公子と結婚したヴィクトリア女王が、挙式後に注文したオリジナルの洗礼用ドレスは、炭鉱夫の娘から女王御用達の裁縫師となったジャネット・サザーランドが制作を手がけた。女王の指示は、自分のウェディングドレスになるべく近いデザインを、というもの。ドレスが初めて披露されたのは、1841年、娘ヴィクトリアの洗礼式の時だ。

スピタルフィールズの絹とホニトン・レース（ボビンレース）が使われた、貴重で繊細な衣装だけに、保存方法も厳格に決められている。儀式終了後、ドレスは雨水で手洗いされ、日光の入らない暗室で保管される。

62人のロイヤルベビーが纏った。

大事に扱われたおかげで洗礼用ドレスは長持ちし、8代にわたってロイヤルファミリーに誕生した総勢62人の新生児がこの衣装に身を包むことになった。ウィリアム王子、ハリー王子、チャールズ皇太子、そしてエリザベス女王も着用している。163年間、現役で活躍して十分役目を果たしたとして、代々受け継がれてきたドレスは2004年に引退。2代目洗礼用ドレスは女王の依頼で、1代目と見間違える人がいても無理はないほど、細かい部分までそっくりに作られた。

2002年から女王の専属デザイナー兼スタイリストを務めるアンジェラ・ケリーの監督下制作された2代目のドレスは、2008年、セヴァーン子爵ことジェームズ・マウントバッテン＝ウィンザー（エドワード王子とソフィー妃の第二子で、エリザベス女王の孫）が初めて着用した。その後、ジョージ王子（2013年生まれ）、シャーロット王女（2015年生まれ）、ルイ王子（2018年生まれ）も洗礼式で同じものを着用。これもきっと、長い“キャリア”のほんの始まりにすぎない。

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ウィリアム王子に抱っこされたジョージ王子。洗礼式にて。（イギリス・ロンドン、2013年10月23日）photo：Abaca

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ハリー王子の洗礼式にて、チャールズ皇太子とダイアナ妃。（イギリス・ロンドン、1984年12月21日）photo：Abaca

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ウィリアム王子の洗礼式にて。（イギリス・ロンドン、1982年8月4日）photo：Getty Images

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キャサリン妃に抱かれたルイ王子。洗礼式にて。（イギリス・ロンドン、2018年7月9日）photo：Abaca

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エリザベス王女（現エリザベス女王）とエディンバラ公。娘アン王女の洗礼式にて。（イギリス・ロンドン、1950年10月21日）photo：Getty Images

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洗礼式当日、乳母車に寝かされたシャーロット王女。（イギリス・ロンドン、2015年7月5日）photo：Getty Images

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ヴィクトリア女王（中央）と、息子“バーティ”（後のエドワード7世、左奥）、孫（未来の国王ジョージ5世、右奥）、曽孫（未来のエドワード8世、手前）。エドワード8世の洗礼式にて。（イギリス・ロンドン、1894年7月16日）photo：Getty Images

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当時のエリザベス王女の出産に立ち会った助産婦（左）に抱かれる、洗礼式後のチャールズ皇太子。（イギリス・ロンドン、1948年12月18日）photo：Getty Images

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洗礼式後、母エリザベス王女（現エリザベス女王）に抱かれるアン王女。（イギリス・ロンドン、1950年10月21日）photo：Getty Images

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アルバート・フレデリック・アーサー・ジョージ（後のジョージ6世）と、妻エリザベス・ボーズ＝ライアン（未来のエリザベス王妃）。娘（未来の女王エリザベス2世）の洗礼式にて。（イギリス・ロンドン、1926年5月29日）photo：Getty Images

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