クライミング界の若きスターの、途方もない挑戦とは?

Culture 2019.10.01

安全装置なしに挑む断崖は、さながら難攻不落の城塞。

『フリーソロ』

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未踏の絶壁を若きクライマーが命綱なしに登り切る。これを「偉業」賛美で済まさない感銘が、今春の米アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞に輝く本作にはある。それが命知らずの暴挙ではなく、訓練とリハーサルを重ねた彼の日常と地続きにある、という視点の明快さ。加えて、撮影行為自体のリスクをも隠さない視覚が秀逸だ。先駆者の悦びとは別の義務感やら功名心やら、撮られることの雑念が予想外の危険を招いたり。余計な負担をかけぬよう常に待機状態の撮影クルーの緊張が、唐突に決行される登頂の緊迫感をいや増す。

『フリーソロ』
監督/エリザベス・チャイ・ヴァサルヘリィ、ジミー・チン
2018年、アメリカ映画 100分
配給/アルバトロス・フィルム
9月6日より、新宿ピカデリーほか全国にて公開
http://freesolo-jp.com

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*「フィガロジャポン」2019年10月号より抜粋

réalisation : TAKASHI GOTO

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