本当の美しさについて問いかける、倉敷ガラスの写真集。
Culture 2019.10.16
寡黙な詩のような倉敷ガラスの美しい世界。
『倉敷ガラス 小谷眞三』
赤尾昌則写真 2冊セット 小学館刊 ¥21,600
※購入、お問い合わせはkurashikiglass201908@shogakukan.co.jpまで
ぽってりと優しいカタチ。気泡を抱いた海を思わせる青は「小谷ブルー」と呼ばれる。倉敷ガラスの創始者・小谷眞三の作品集。クリスマスのオーナメントを作る職人だった小谷の原点は、民芸運動に傾倒していた坪井一志に依頼されたコップだった。飾って鑑賞するための芸術ではなく、日常の道具として生み出された作品は、これみよがしな装飾とは無縁。写真家・赤尾昌則は小谷の人柄に魅せられて、この本を作ったという。寡黙な詩のような佇まいは、本当の美しさとは何かを問いかけてくる。
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*「フィガロジャポン」2019年10月号より抜粋
réalisation : HARUMI TAKI