天使?悪魔?若き司祭の瞳に射抜かれる『聖なる犯罪者』。

Culture 2021.02.06

ポーランドの有望株が放つ、嘘と信仰、罪と恩寵の寓話。

『聖なる犯罪者』

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20歳の前科者ダニエルは就業先の製材所へ行く途上、寄り道した村の教会で司祭を名乗る。少年院で感化された神父への憧れゆえの嘘が、酒癖に悩む老田舎司祭の格好の後任として村人たちの信頼を得る。若いのに世知に通じ、妙に真に迫った型破りの説法。老若を問わず、懐に飛び込む親身な交わり。寒村に染み広がる温かな色合い。善良な村人がひた隠す「村八分」事件の真相までが彼の尽力であぶり出され、破局の末に小さな「ゆるし」をもたらす終盤には胸をえぐられる。善と悪、嘘とまことの既存の枠組みがグラグラ揺らぐ。聖なる偽司祭の蒼い瞳に射ぬかれて。

『聖なる犯罪者』
監督/ヤン・コマサ 
2019年、ポーランド・フランス映画 115分
配給/ハーク 
1月15日より、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国にて公開
http://hark3.com/seinaru-hanzaisha/

※新型コロナウイルス感染症の影響により、公開時期が変更となる場合があります。最新情報は各作品のHPをご確認ください。

*「フィガロジャポン」2021年2月号より抜粋

réalisation : TAKASHI GOTO

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