ドキュメンタリーから青春コメディまで! 注目の新作映画3選。

Culture 2021.03.26

絵画とビジネスにうごめく、愛と欲の群像ドキュメント。

『レンブラントは誰の手に』

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オランダ貴族出の若い画商ヤンが安値落札した『若い紳士の肖像』がレンブラントの真作と鑑定される。その絶頂気分が一転、奈落の淵へ。アートと市場経済の怪しくもスリルに満ちた関係を、映画は辛辣に描き出す。富豪が200億円で手放す絵に、オランダとフランスが意地の争奪戦を展開。レンブラントの2点1対の希少作が別れ別れとなる危機も。他方、レンブラントの肖像画『読書する女性』に英国の公爵が尽きぬ愛着を抱く。老女の顔が古書から光の照り返しを受けるような、1対1の場にこそ絵画本来の充足がある、と映画は静かに訴える。

『レンブラントは誰の手に』
監督・脚本/ウケ・ホーヘンダイク
2019年、オランダ映画 101分
配給/アンプラグド 
2月26日より、Bunkamuraル・シネマほか全国にて公開
http://rembrandt-movie.com

※新型コロナウイルス感染症の影響により、公開時期が変更となる場合があります。最新情報は各作品のHPをご確認ください。

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救護に献身した若い勇者を、恩人として讃えるために。

『ラスト・フル・メジャー 知られざる英雄の真実』

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埋もれた逸品『最前線物語』の原題でもある「The Big Red One」は、最前線で戦い続けた由緒あるアメリカ歩兵師団の愛称だ。ベトナム戦争でその師団が壊滅寸前に。航空救護隊の上等空兵がヘリから惨劇の渦中に降り立ち、瀕死の負傷兵を多数救って戦死する。だが、国防総省の武官は彼の献身を歴史から消そうとする。最悪の地上戦を立案した元指揮官に忖度して。ウィリアム・ハート、ジョン・サヴェージら、名優揃いの後遺症持ちの帰還兵が、無名の個の力を弔うために闘う、根気強さが心に響く。

『ラスト・フル・メジャー 知られざる英雄の真実』
監督・脚本/トッド・ロビンソン
2019年、アメリカ映画 116分 
配給/彩プロ
3月5日より、シネマート新宿ほか全国にて公開
https://thelastfullmeasure.ayapro.ne.jp

※新型コロナウイルス感染症の影響により、公開時期が変更となる場合があります。最新情報は各作品のHPをご確認ください。

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笑いが現在へのトゲとなる、青春回顧を超えた群像喜劇。

『あの頃。』

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2004年、音楽家志望の劔つるぎは、バイト漬けの心弱りにふと、あややこと松浦亜弥の歌に魅せられ、ハロプロ熱狂者らとバンドを組む。トップアイドルの天界のまばゆさに底辺の男どもが涙する、喜劇的な構図。これを松坂桃李はじめ、生きのいい若手俳優陣が関西ノリの剽軽さで演じる配役の妙。仲野太賀の名脇役ぶりが際立つ。大口叩きの小心者の無茶なこじれ方を、混沌から各々脱出してゆく仲間が愛をこめて笑い飛ばす。死に臨む終盤には厳粛さも。一方通行に煮詰まった恋や憧れを群像コメディに束ねるのが得意な、俊才の面目躍如。

『あの頃。』
監督/今泉力哉
2020年、日本映画 117分
配給/ファントム・フィルム
TOHOシネマズ 日比谷ほか全国にて公開中
https://phantom-film.com/anokoro

※新型コロナウイルス感染症の影響により、公開時期が変更となる場合があります。最新情報は各作品のHPをご確認ください。

*「フィガロジャポン」2021年4月号より抜粋

réalisation : TAKASHI GOTO

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