コロナ禍でも、ポジティブに生きるヒント。

Culture 2021.03.01

暗い気持ちで過ごす人が多かった2020年を、不平を漏らすのではなく、むしろ笑顔で過ごしたという5人のオプティミスト(楽観主義者)たち。どんな状況下でも人生の明るい面を見ようとする彼らが、日々を明るい気持ちで活動的に過ごす秘訣をシェアしてくれた。

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5人の楽天家は、日常の中で自分を笑顔にする方法を知っている。photo : Getty Images

人間は2つのタイプに分けられる、とよく言われる。「コップの中に水が半分しかない」という人と、「コップの中に水が半分もある」という人だ。フィリップ、フローレンス、アナイス、テオ、エリックの5人はその後者である。彼らは、危機に直面した時に多くの人がうらやむ「楽観的な」性格を持っている。

辞書の定義によれば「楽観的」とは「物事の明るい面を見て、すべてが最善だと信じ、現在の不安な状況を心配せず、将来のためにうまくいくことを見つけることからなる心の枠組み」。実際のところ、彼らはどのようにして困難の多かった2020年を乗り切ることができたのだろうか。彼らの日常から、楽天的に生きるためのヒントを探してみよう。

自由でいる:31歳、アナイスの場合。

アナイス、31歳、外食産業のコミュニケーションマネージャー。2020年3月、ロックダウンが近づき苦悩で爪を噛む人もいるなか、アナイスはノルマンディー地方のビーチハウスへの逃避を計画していた。「こんな状況は予想もしませんでしたが、私はポジティブな瞬間を演じる女優になりたかったのです」と彼女は振り返る。

外食産業が危機の矢面に立たされている中、まだまだ働き続けられる30代の彼女は、集団ヒステリーの広がりに屈するのを拒否し、向上心を持っている。「家で運動をしたり、食事を少なめにしたり、お酒を減らしたりする良い機会。コロナ禍でなくても、1月の寒さのせいで毎晩外出することはなかっただろうと自分自身に言い聞かせています」と彼女は語る。

退屈を感じたら、健康的なルールに則って、さまざまなアクティビティを行う。例えば、45km自転車に乗るとか16℃の海で泳ぐとか。「私はアルジェリアの『ネガティブな思考は良いことを引き起こさない』という迷信を信じています。だから良い流れを生み出すためにも、常にポジティブでいるように心がけています」と彼女は話す。

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自分だけの日課を作り、日記をつける:57歳、フローレンスの場合。

「自分が進歩しているように感じることほど、私たちのオプティミズム(楽観主義)を刺激するものはありません」—作家/ジャーナリスト、フローレンス・サルヴァン=シュレベール

フローレンス・サルヴァン=シュレベール、57歳。『Bloum : écrire pour s’épanouir et kiffer(ブロウム:成長と自分を愛するために書く)』(Marabout刊)の著者であり、ジャーナリストとしても活躍する。彼は長年、ポジティブ心理学の原理を応用し、自身の日常生活と読者の暮らしに潜在的な可能性を引き出そうと努力してきた。

フローレンスは、人間は自分たちの人生に影響を与える能力を持っているからこそ、ポジティブでいられると確信を持っている。まずは自分の日課を作ることから始めてみよう。「気分良く過ごせる定期的なスケジュールを持つことは、何に対処するにも、かけがえのないエネルギー源となります」と彼女は言う。彼女によれば、芸術分野にのめり込むこと、おいしい食事を作ること、友人との会話は心地よいくつろぎをもたらす。また、それがあなたにとって新たな活動であれば、影響は2倍になるという。

「自分が進歩しているように感じることほど、私たちのオプティミズム(楽観主義)を刺激するものはありません。自分がほとんど知らない分野に思い切ってチャレンジし、新しいスキルを身に付けている、と実感することが大切です」と彼女は言う。例えば、折り紙教室に参加してみたり、ライティングのワークショップに登録したりするのも良いだろう。

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天気を観察し、人々の声に耳を傾ける:36歳、テオの場合。

テオは36歳の建築家。彼は小さなころから光を浴びるのが大好きだった。子どもの頃、天気が悪い時にボーッとしていたり、教室の窓に鼻をくっつけて外を眺めていたりして、怒られることもよくあったという。「僕たちは天気をコントロールすることはできないけれど、雨が降った後は必ず晴れる。ばかげているように聞こえるかもしれないけれど、それがとても心強いと感じているよ」と彼は言う。

曇って気温が下がると、建築家のテオは、身近な人々に太陽の光を求める。「もちろん、飛び切りの笑顔でとにかく面白い人が良いけれど、場合によってはラジオなど音声に耳を傾けることもある」と言う。彼のお気に入りのポッドキャストはラジオ局フランス・キュルチュールが放送する「Les Pieds sur Terre」だ。「木々の声を聞くことの出来るギフテッドの女性、40歳になって初めて読むことを学んだ識字障害の男性、ボンディの森で小屋を建てる田舎の子供たちなど、人間の力を信じることができる人生のストーリーを紹介している。特にお気に入りはジャーナリストのエリーゼ・アンドリューが書いたものだよ。鬱々とした気分にこれ以上効くものはない」と彼は述べる。

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ユーモアセンスを養い、革新に目を向ける:62歳、フィリップの場合。

「それは悲劇ではなく、私たちが克服する集団的な試練なのです」—社会心理学教授 フィリップ・ガビリエ

フィリップ・ガビリエ、62歳、社会心理学教授。「La Ligue des Optimistes de France(フランス・オプティミスト連盟)」のスポークスパーソンであり、『Éloge de l’optimisme(オプティミストを称えて)』(J’ai Lu刊)の著者でもある。フィリップ・ガビリエは、2020年を振り返っても不満は見つからないと言う。「悲観的になる理由はありません。リモートで仕事を続けることができています。妻と2人の娘との時間を以前より持てますし、テレビドラマを観る時間さえあります」と彼は述べる。

行動が制限される厳しい状況にありながら、生まれながらに楽観的な彼は小さな幸せに喜びを感じている。彼の小さな喜びとは? 毎週決まった時間に友人に電話をして、Zoomを介してアペロ(晩酌)を楽しみ、新型コロナウイルスのパンデミックをテーマにしたジョークやユーモラスなビデオを共有することだ。「状況をあまり深刻に考えないことが重要です。それは悲劇ではなく、私たちが克服する集団的な試練なのです」と彼は言う。

彼によると、歴史の本を読めば、物事を相対的に考えることができると言う。「大きな危機があれば、再び結束したり、非常に強力な回復につながったりすることが何度も過去示されています」。しかしながら、それをプラスに活用し過剰な不安を引き起こさないためにも、情報を読みすぎないように注意しよう。フィリップは、日刊紙「リベラシオン」が発行する別冊「Libé des solutions」のように“希望をもたらすメディア”に目を通す。「その媒体は、人間の知性や革新、発明、困難への適応に対する私の飽くなき信念を刺激してくれる」と彼は述べる。

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ベッド横に置いた本をまた読む:44歳、エリックの場合。

エリック・アントワーヌ、44歳、マジシャンでテレビ司会者であり、『Magic Optimystic(楽観的なマジシャン)』(Robert Laffont刊)の著者。劇場やショーが一時的に幕を下ろしている最中、エリックは、観客に笑いを届け、夢を見続けてもらうため、インタラクティブなオンラインショー「Connexions(コネクシオン)」を立ち上げた。

飽くなき好奇心のせい(またはおかげ)で。楽観的に邁進できているというエリック。「自分に問いかけてみて下さい。悲観的になる原因を探すのではなく、世界を異なった角度で見つめ、自分を労われば、創造性が育まれるのです」と考察する。

本は我々の周辺で起こっていることをより良く理解するのに役に立つ。ロックダウン中、エリックはゴンクール賞を2度受賞したロマン・ガリによる有名小説『これからの人生(La Vie devant soi)』に夢中になった(読むのは3度目)。マジシャンであるエリックは本作品を「娼婦の子どもたちを預かるユダヤ人老女とアラブ人少年との交流を描いた素晴らしい愛のストーリー。著者は“人類の軽やかさと難しさ”の全てを描いている」と要約する。そして彼は次のように言い加える。「一生に寄り添う本の一つであり、読むたびに明るい光で読む人を照らしてくれます」

texte : Tiphaine Honnet (madame.lefigaro.fr), traduction : Hanae Yamaguchi

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