世界中で双子の出生数が増加。その理由は?

Culture 2021.04.08

世界中でかつてない双子の誕生ブームが起きている。3月初めに発表された研究によると、この現象は生殖補助医療の拡大や、妊娠の高年齢化によるものだという。

210406-le-boom-des-naissances-de-jumeaux-(1).01jpg.jpg

「ヒューマン・リプロダクション」誌に発表された研究によると、世界で双子の出生が増えているという。photo : Getty Images

世界中で双子の出生数がこれまでになく増えている。医学専門誌『ヒューマン・リプロダクション』に発表された研究によると、世界中で誕生している双子は、年間160万組以上。これは「ほぼ40人に1人の割合」だ。研究者たちは、生殖補助医療の適応範囲の拡大と妊娠の高年齢化が要因だとしている。

1980年代以降、世界における双子の出生率は、出産数1000件のうち9.1件から12.0件に上昇した。すなわち、わずか30年で3割も増加したことになる、と国立自然史博物館教授でフランス国立人口研究所(Ined)客員研究員のジル・ピゾンは指摘する。

この双子出産ブームを危惧する声もある。多胎児は低体重や早産で生まれる率が高く、分娩時の合併症や死産の確率も通常の出産に比べて高いためだ。もちろんふたりの乳児を同時に育てることは両親にとって負担も大きい。

双子の出生数の世界的な増加の直接の原因は、二卵性双生児の妊娠の割合がかつてなく上昇していることだ。二卵性双生児の出生数には地域や時期によってばらつきがあるのに対し、一卵性双生児は世界中どこでも同じ比率で誕生している。「一卵性双生児の出生率は出産数1000件当たり4件の割合で一定しており、母親の年齢や地域による差はない」とピゾンは分析する。

---fadeinpager---

生殖補助医療と妊娠の高年齢化

多胎児出産が増加している理由として、1970年代に生殖補助医療が先進国で実施され始めたことと妊娠の高年齢化が挙げられる。卵子の成熟と排卵に関与する卵胞刺激ホルモン(FSH)の血中濃度は、年齢とともに上昇する。このため双胎妊娠の確率は37歳でもっとも高くなる。

生殖補助医療が登場する以前は、それ以上の年齢になると、卵巣機能の衰えと子宮内胎児死亡率の増加によって、二卵性双生児の出生率は急激に低下していた。

近年は生殖補助医療技術の進歩によって、受精後の胚をひとつだけ移植し、残りの胚を凍結保存することも可能になり、妊娠成功率が飛躍的に向上している。ただし「双生児の出生率は、とくに生殖補助医療が今現在最も普及している先進国では、おそらくピークを迎えたと思われる」とも研究者たちは分析している。

同研究に参加したジル・ピゾン、オックスフォード大学のクリスチャン・モンデン、オランダのラドバウド大学のイェルーン・スミッツは、入手可能なあらゆるデータを解析し、世界各国の双生児出生率を算出したうえで、1980-1985年と2010-2015年の両時期を比較し、30年間に起きた変化を概括している。

---fadeinpager---

トップはアフリカとアジア

双生児の年間出生数は320万人。アフリカとアジアでそれぞれ130万人(65万組)誕生しており、残りの約60万人が世界のその他の地域で生まれている。

アジアで双生児の出生数が多いのは、世界人口の60%をこの地域が占めているためだ。アフリカ(世界の人口の17%)で双生児の割合が多いのは、出生率が他の地域に比べて圧倒的に高いことから説明できる。アフリカの出生率は他の地域の2~3倍に上るうえ、もともと双子の生まれる確率が世界で最も高い地域でもあるからだ。

ヨーロッパと北アメリカの双生児出生率は、30年前はアフリカに比べると半分に近い水準だったが、その後かなり増加(出産数1000件当たりの双生児出産率は、ヨーロッパでは14.4件、北アメリカでは16.9件)し、現在はほぼアフリカと同水準にまで達している。アフリカは17.1件でこの間ほとんど数値は変化していない。

双生児出生率がアフリカ並みの高比率に近づいた要因は、生殖補助医療の普及と妊娠の高年齢化というわけだ。

texte : La rédaction (madame.lefigaro.fr) avec AFP

Share:
  • Twitter
  • Facebook
  • Pinterest

フィガロワインクラブ
Business with Attitude
キーワード別、2024年春夏ストリートスナップまとめ。
連載-パリジェンヌファイル

BRAND SPECIAL

Ranking

Find More Stories