愚痴を言い合う頻度はどれくらい? いい友人関係を築くには。

Culture 2021.04.22

仕事でのストレス、つい同僚に愚痴ってしまったり……。大人になってからの友人関係や同僚との付き合い方は、学生時代より悩むことが多いもの。『働く女子の人間関係術 社会人として人に接する42の常識』(福島哲史著 CCCメディアハウス刊)より、アドバイスを抜粋、再編してお届けする。

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画像はイメージ photo:Antonio_Diaz

友だちと愚痴をこぼし合うのは月1回くらいに

働いていると、ストレス発散とばかりに酒を飲みながら愚痴を言うこともあるでしょう。もちろんそんなことを気兼ねなく言い合える友だちは必要です。しかし、そういう友だちと愚痴ばかり言っていると、後ろ向きの生き方に染まりかねません。

「最近は自分の口から愚痴や悪口しか出ていない」と思ったら、口をつぐんでもう一度よく考えてみましょう。自分の口から発した言葉は、あなたの心の中を表わしているのです。悪口を言うだけでは、不幸な人生で終わりかねません。

もちろん、批判精神は大切です。しかしそれは、物事を表面でとらえることなく、本質でとらえ、改善の方向へと向かって努力する行動になって、初めて意味があります。そのときに大切なことは、ひとつは具体的な解決案を出すこと。そしてもうひとつは、不平・不満の理由を課題のレベルにまで上げ、ポジティブに行動することです。

ところが、愚痴友だちとの会合はそれをうやむやにして、気分を晴らしてくれるため、あなたが自分と立ち向かう戦いを避けるほうにもっていってしまいます。ときにはなぐさめも必要ですが、それはあくまで困難に立ち向かうためのもの。諦めるためではありません。

すべてが人のせいではないと、心のどこかで思うこともあるでしょうが、そんな思いも、愚痴友だちの安易な答えでダメ押しされてしまい、愚痴を肯定された時点で、「でも私も悪かった」「こう直せばよいのでは」という反省は飛んでいってしまうものです。

よいことも悪いこともなんでも聞いてくれる友だちと会うのは、月1回ぐらいにしましょう。そのうちもっといい関係が生まれるかもしれないと期待しながら、会ったときは聞き手に徹することです。

「でも、そんなこと言っていても仕方ないよね」と現状が改善されないことにお互いが気づき、そこから脱しようとすれば愚痴友だちとの悪しき関係も改善されていきます。

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本音で語れる友をもつ方法

昔から日本人は本音と建前を使い分けてきました。

たとえば知り合い程度の人と会ったとしましょう。そこで「また今度一緒に飲みに行きましょう!」と言われたとします。しかし、だからといって、その約束が果たされることはまずありません。いわゆる社交辞令だからです。

その場の空気を読まずに「じゃあ、いつ飲みに行きましょうか?」などと返事をしようものなら、相手は露骨に嫌な顔をし、咳払いのひとつでもして、「また今度」と言われてしまうのが関の山です。

とかく本音と建前は使い分けるのが難しいものであり、それができる者こそが立派な社会人としてのマナーを身につけていると言われてきました。

本音で語ることは、自分の思いのたけをそのまま表現することです。心の底に秘められた思いを、包み隠さずに話すことであり、どこか情緒に訴えかけるようなところがあります。しかしその結果、相手との間に荒波が立つことも少なくありません。そう覚悟しなければ、本音はなかなか言えません。

「あなたのその服は何? まるでお笑い芸人の衣装のようね。そんな格好で恥ずかしくないの?」「それにそのヘアスタイルは一体どういうつもり? なんだかバランスが悪くて、思わず笑ってしまうわ」

仮にそんなことを心の中で思ったとしても、一度口に出してしまったらもう終わりです。だからこそケンカにならないように、相手のことを持ち上げられる個所を見つけ出すのに苦労するはめになるのです。

その結果、「前々から思っていたけど、そのシャツの色づかいはいいですね。素敵なセンスですね」「いやいや、あなただって可愛いスカーフね。そのスーツにとってもよく似合っているわ」といった不毛な会話がそこらでくり広げられていくことになるわけです。

しかし、これでいいのでしょうか。自分に心地いいことしか言われないような関係では、まるで進歩がありません。

物事に対して本音を言ってくれる友をもつためには、その前に自分が本音で相手に対応しなくてはなりません。それができないうちは、相手に本音を求めるのは無理な話です。

もしあなたが、相手の服装が似合わないと思ったら、本音でそう言ってみましょう。そうすることで相手は自分の服装に目を向け、その結果、ファッションセンスも高まるはずです。もちろん相手を批判するほうだって下手なことは言えなくなります。もっとたしかなことを言わなければならなくなるから、勉強するきっかけにもなります。

昔から日本の社会、特に女性たちは、本音を口に出すのは、口が悪いとか毒舌と言われ、敬遠されがちでした。「思っているからって、わざわざ口に出してはいけません」などと言われてきました。だからこそ人が着ているものと同じような服を着て“群れ”ているほうが無難だったのです。

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しかし、現在では人が皆、違う服を着る傾向にあります。そこには自分で選んで主張する自由があるのです。その分、周囲の人たちが本音で話し、ズケズケと意見を言うので傷つくことがあるかもしれません。しかし、これを恐れてはいけないのです。

その人にとって、それを言ってあげることがためになると思った場合、本当に言うべきこと、正しいことは言ってあげるべきです。

それをどう受け止めるかは相手の勝手であり、何かに対する意見、批判とその人の評価は別であるべきなのです。そう割り切れる人の見きわめをあやまると、時折、話がややこしくなります。

その相手が自分にとって大切な人で、本音を言うことで関係が壊れないと見きわめられたなら、タイミングと言葉づかいによく注意し、本音の5回に1回は相手のいいところをほめて、発言できるようにしましょう。

人に何かを言う以上、自分の身をも正すという責任が出てきます。本音を言い合うことで、互いが成長し合える人間関係、それは絆が強いものです。

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『働く女子の人間関係術 社会人として人に接する42の常識』

福島哲史 著

CCCメディアハウス

(※画像をクリックするとアマゾンに飛びます。)

 

texte:TETSUSHI FUKUSHIMA

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