いつも怒ってる、は要注意!怒りが身体に及ぼす影響。

Culture 2021.06.07

押し殺した感情を解放するための怒りなら、それは有益な怒りだ。しかしいつも怒っていたり、怒り方が激しすぎたり、はっきりした理由もなく怒りが込み上げてくるなら、怒りが身体に悪い作用を及ぼしてしている可能性がある。2人の専門家に説明してもらおう。

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意味がない激しい怒り。これを繰り返すと体を蝕んでしまう。photo : Getty Images

怒りを覚えるのは至って自然なこと。ネガティブな感情は吐き出すべきなので、怒りを押し殺してもいいことはない。しかし満たされない欲求を過度にため込む人がいる。多くの場合は理由ははっきりしておらず、したがって何の解決にもつながらない。

このようなことが起きるのは、脳の中で感情をコントロールする部分である前頭前皮質がしっかり機能せず、強い感情を和らげることができなくなっているからだ。この場合、怒りは身体に悪い作用を及ぼしてしまう。

EMリヨン経営学大学院の教授で社会心理学の研究者であるクリストフ・アーグ(1)は次のように説明する。「怒りは身体の緊張を過剰に高めます。常にヒートアップした状態なので、身体も脳も非常に多くのエネルギーを消費します」

それをコントロールできるようになるのが緊急な課題であるとも言う。「現在、人が覚える激しいネガティブ感情の中で、過剰な怒りは最も顕著なものの一つでしょう。人間社会にとって危険だとさえ言えます」。詳しく説明してもらおう。

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健康への悪影響

「突然の激しい怒りに繰り返し襲われる人は、ヘルニアやじんましん、乾癬、喘息、腰痛に悩まされる可能性があります」とアーグは続ける。

最終的には深刻な病を引き起こしかねない。「激しく怒る人は血圧が高いことが多いので心血管疾患、心臓病、脳卒中になる可能性が高いのです」と心理学博士のディディエ・プルー(2)は指摘する。慢性的に怒りを覚える人は潰瘍も起きやすい。

殻に閉じこもる

頻繁に怒りを覚える人は、精神と感情のバランスを崩すことがある。理由は明白だ。「怒りが及ぼす生理作用機能はストレスが及ぼす生理作用機能に近いので、不安症、恐怖症、強迫性障害を誘発しやすいのです」とアーグは説明する。怒りは人を殻に閉じこもらせ、場合によっては鬱状態につながる可能性もある。

怒りは他人に向けられることが多いが自分に向くこともあり、その結果、自己評価の低下につながってしまう。「常に自分に対して怒っている人もいます。そのような人は自己嫌悪や自己非難の感情に苛まれてしまいます」とプルー博士は付け加える。

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一時しのぎの対処法

「感情知能が高い人と比べて、“怒りの常習者”たちは感情をコントロールする能力が低い」と社会心理学を研究する立場からアーグは言う。専門家によるコーチングや心理療法などを受けないと、自分を落ち着かせるために過剰な行動に走ることもありうる。

「たとえばタバコやアルコールの摂取量が多くなったり、まれだがスポーツに異様に熱心になったりする場合もあります」とアーグは忠告する。

人間関係に及ぼす悪影響

友人であろうと、パートナーや上司であろうと、怒りを伴うコミュニケーションは不毛で発展性がない。激しい怒りは人を遠ざけ、人間関係の質を落とし、付き合いの範囲を狭めてしまう。

「怒りながら表現することは感情的に未熟であることの現れです。幼い子どもが何かを欲しい時、言葉で表現できないため怒りとして表すことがあります。しかし大人になれば言葉を使えますよね」とプルー博士は付け加える。

怒りに支配された人は自制心を働かせながら感情を言語化することができないので「自己に閉じこもってしまいます。怒りは恋愛関係にも悪い影を落とし、破綻につながることもあります」とプルー博士は言う。

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解決方法

まずは怒りを認め、怒りに負けてしまったことを受け入れることだ。自分の感情を紙などに書き出し、少し時間を置いてから見直してみるのも自分の感情をコントロールするのに効果的だ。

深呼吸は積もった怒りを軽減させ、心を落ち着かせる。「自然に接するのも怒りを早く解消するのに役立ちます」とアーグは付け加える。

怒りの感情が起きても関係を保つことは可能だ。「自分に起きた感情を言語化し、怒りを向けてしまった人に詫びる」とアーグは結論づける。そうすればかっとした怒りも徐々に薄らいでいくだろう。

(1) Christophe Haag『La Contagion émotionnelle』 Albin Michel社
(2) Didier Pleux『Exprimer sa colère sans perdre le contrôle』 Odile Jacob社

texte : Mélodie Castan (madame.lefigaro.fr)

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