もの忘れに体重増加...それ、不眠症のサインかも?

Culture 2021.06.08

どこから不眠症というのだろう? 睡眠障害と真の不眠症をどのように区別すればいいのだろう?  2人の専門家が教えてくれた。

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私って不眠症? どうしたら治せるの? Photo : Getty Images

疲れているのになかなか寝付けない、夜中になぜか目が覚めて、その後何時間も目が大きく開いたまま......。不眠症とそれに伴う睡眠不足は災いのもと。しかし、どこから不眠症と言えるのだろうか? 睡眠障害と真の不眠症を区別する方法は?

2つの主な基準

2つの主な基準を満たす場合、不眠症と診断される。

1つ目は、眠りのトラブルを抱えて苦しんでいるかどうか。「不眠症の人は、夜中に目覚め再び寝付くのに苦労したり、夜に眠ること自体に苦労したり、朝早すぎる時間に目が覚めたりしてしまいます。不眠症の人は眠りたいと思っていても眠ることができないのです」と、睡眠障害を専門とする精神科医であり、ピティエ=サルペトリエール病院睡眠病理学部門の元臨床医、アグネス・ブリオンは説明する(1)。

2つ目は、これらの障害の影響を1日中受けているかどうか。「疲れやすくイライラするだけでなく、もの忘れや集中力の欠如、時には特定のタスクをこなせないといった問題も起こります。目の周りにクマができたり、元気がなかったり、身体的な症状も起こります」とCBT(認知行動療法)に詳しい心理学者であり、『CBTで不眠症を変える(2)』の著者でもあるシルヴァン・ダニョーは述べる(2)。

また、不眠症は、睡眠障害が少なくとも週3回は発生し、3カ月以上その状態が続いていることが前提だ。「それ以下の頻度、期間であれば、人生の困難なライフイベント(死別、仕事上の困難...)と関連している可能性あり、だんだんと解消するはず。しかしそれを超えるとすでに不眠症に陥っており、原因となる状況が解決しても症状は続きます」と心理学者は説明する。

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体重増加

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体重増加は不眠症のサイン? photo : iStcok

このレベルの不眠症になると、身体的および精神的な健康への影響が懸念されるようになる。そして長期的な結果として、病気にかかりやすくなる。「睡眠は私たちの身体が正常に機能するための柱となるものです」とシルヴァン・ダニョーは述べる。「睡眠時間が短いと、代謝と免疫系に悪影響を及ぼし、体重増加につながる可能性があります。さらに深刻な場合は、感染症のリスクが高まる可能性もあるのです」

原因は? 他の多くの病気と同様、不眠症には遺伝的要素がある。「心配性の人は睡眠障害になる傾向が強いなど、性格に起因することもあります」とブリオンは説明する。これらの2つの側面のほかに、トラウマ的なライフイベント、職場での問題、心配事なども不眠症の引き金となる。

「不眠症は行動の変化を引き起こします。本来は眠りたいから眠るのですが、不眠症の人は寝ることを目的に眠ろうとします。そして眠りたいという欲求にとらわれる。これはストレスや心拍数を増加を引き起こし、その結果、眠りにつくのを妨げるのです」と精神科医は説明する。

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解決策

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朝は決まった時間に起き、窓を開けて光を取り込む、などのルーティーンを作ろう。 photo : iStock

不眠症を緩和するには、いくつかの反射的な方法を取り入れることが重要だ。朝は決まった時間に起き、できるだけベッドにとどまらないようにする。「そうしないとベッドが寝る場所ではなくなります。ベッドにとどまらないことで、脳だけでなく身体全体のコンディションを整えます」とアグネス・ブリオンは主張する。

また、光(できれば自然光)を浴びることも必要だ。「日光は体内時計を調整してくれます。もし朝、寝室の薄暗い中で長時間過ごすと、身体は眠るタイミングをうまく見分けられず、調整できなくなってしまいます」と専門家は続ける。

また、夜に15分ほど経っても眠れない場合は起き上がることをおすすめする。「こうすることで、回復力のない中途半端な眠りや眠気を避けることができる。一度起き上がって、本当に眠いと感じたらベッドに戻ります」とブリオンは勧める。

「眠りにつくことができる精神状態かどうかを自問することが重要です。緊張による興奮は睡眠を妨げるので、眠れなくてイライラしている時に我慢するのは逆効果です」とシルヴァン・ダニョーは付け加える

当然のことながら、夕方から夜にかけては電子機器のスクリーンを見るのは避けた方がいい。「それらが放つ光は、暗闇で作られる神経ホルモン、メラトニンの生成を妨げます。ホルモンの分泌や体内時計を調節するのはメラトニンです。また、心理的な側面も忘れてはいけません。メッセージに返信したり、延々とドラマを観たりするのは、中毒になる可能性があります」と精神科医は警告する。

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薬による悪循環

薬は、(医師の処方を受けて摂取すれば)一時的な不眠症には効果があるが、慢性的な不眠症の解決策にはならない。「身体が薬に慣れてしまうと、薬をやめた途端に不眠症がさらに悪化し、再び服用しなければなりません。悪循環です」とブリオン。効果的かつ長期的な解決策を見つけるためには、眠りの専門家に相談し、心理行動療法を受けるのがベストだ。

(1) アグネス・ブリオン(Agnès Brion)は、フランス睡眠研究医学会(SFRMS)のメンバーであり、睡眠専門クリニックのネットワーク「Morphée」の副会長でもある。著書に『Mieux dormir avec l’hypnose』(In Press社刊)がある。
(2) Sylvain Dagneaux『Prendre en charge l'insomnie par les TCC』Dunod社刊

text : Kassandre Fradelin (madame.lefigaro.fr), traduction : Hanae Yamaguchi

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