相手を不機嫌にさせてしまった! 会話中の挽回方法って?

Culture 2021.07.02

「初対面の人とうまく話せない」「会話が続かない」と悩む人は多い。「自分から話さなきゃ」と思うと、なおさら会話の難しさに直面して、人との接触が苦痛になってしまいかねない。今回は「『無言』か『ひと言』のみで会話を盛り上げ」て、「相手から好かれる」ことをテーマに書かれた『話しかけなくていい!会話術』(木村隆志著、CCCメディアハウス刊)から、相手からの話題に対しての受け答えのコツを抜粋してお届けする。

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画像はイメージ photo:miodrag ignjatovic_istock

文/木村隆志

「はい」+ ひと言なら失敗しない

私は「うまく話せない」という相談者さんには、「うまく話そうとするから、悩んでしまうのだと思いますよ」と答えています。そんな相談者さんへのトレーニングとして最初に行っているのが、“「はい」+ひと言話法”。これは、相手の言葉に対して、「はい」「うん」という返事のあとにひと言だけ話すというもので、誰でも簡単に言葉を返すことができます。

使い方のコツとしては、ゆっくり「はい」と言っている間に、「何を言おうかな」と考えてひと言に集約すること。たとえば、相手が「仕事が順調」という話をしたら「はい、よかったですね!」、「説明はこれくらいでいい?」と聞かれたら「はい、納得しました」、「ウチのネコがかわいくてね」と言われたら「うん、うらやましいな」と返すだけです。

ひと言に集約する最大のメリットは、「必然的にポジティブな言葉を選びやすくなる」こと。人間はネガティブなことを言うときほど、言い訳のような言葉を重ねて長くなりがちなので、ひと言に集約することでそれを避けられるのです。

そもそも最初に「はい」「うん」と言っている時点でネガティブなことを言いにくい心境になっていますし、また、ひと言にすることで、「失言やズレた返事を避けられる」というメリットもあります。

また、あなたが「はい」「うん」と肯定的な返事を繰り返すことで、相手も「はい」「うん」と返事したくなるなど、いいムードになりやすいのもポイントの1つ。上記の例にあてはめると、相手の「仕事が順調」という話に「はい、力を入れた甲斐がありましたね」と返すと、相手は「はい、そうなんですよね」などと、「はい」が飛び交うポジティブなムードになるのです。相手にも「はい」を言ってもらうためのコツは、あなたの「はい」に続くひと言を相手が〝喜びそうなもの〞や〝話したいもの〞にすること。ときには、知っていることでも、あえて「はい、それって〇〇なんですか?」「はい、〇〇って本当ですか?」などと聞くことで、相手の「はい」を引き出すのもアリです。

この話法は、ホテルマンなどのムード作りが大事な職種の人が、仕事現場で実践しているものなので、ぜひ身につけてほしいと思います。

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話すよりリアクションのほうが10倍大事

「あまり話さない」会話術の肝となるのは、相手の言葉に対するリアクション。「リアクションが薄い人は、どんなに話がうまくても好印象は与えられない」というくらい大事なものだけに、口ベタな人にはなおのこと重要なのです。

私が日ごろ気になっているのは、「相手の話にどんな言葉を返すか?」ばかり考えている人が多いこと。しかし、もし気の利いたフレーズを思いついて返せたとしても、それだけで相手に好印象を与えられるとは限りません。よい関係を築くためには、その一歩手前である「相手の話をどう受けるか?」のほうが重要なのです。

ただ、「相手の話をしっかり受ける」ためのリアクションは簡単なので心配無用。〝あ行〞の短いフレーズに合わせたリアクションを取るだけで好印象を与えられます。

「あっ!」(思い出したように)

「あ〜」(そうだったか) 

「いえいえ」(笑顔でやんわり)  

「いや〜」(照れるように)

「うんうん」(納得の笑顔で)  

「うわ〜」(信じられない)

「えっ?」(驚きながら)  

「え〜っ」(意外そうに)

「お〜」(思わず感心)  

「おっ!」(ノリよく)

などと声を発しながらリアクションすれば、相手は気分よく話し続けることができます。

もちろん、直立不動のままではないほうがいいので、声を出すのと同時にボディアクションも添えておきましょう。リアクションを取るときの主なボディアクションとしては、「目を見開く、細める」「首を縦に振る、ひねる」「手をたたく、左右に振る、腕を組む」「前かがみになる、横を向く」などがあります。

テレビを見ていて、「あまり面白いことを言うわけでもないのに、何か感じのいい人だな」と感じるタレントはいないでしょうか。そういうタレントたちは総じて感じのいいリアクションを取っています。画面の隅にあるワイプ枠に、タレントの表情や動作を映している番組がありますが、みなさんもそれと同じようなリアクションを取ればいいのです。

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うなずけないときほど、シンプルなリレーを

相手の話に乗れないとき、話が理解できないとき、話を訂正したいときなど、「素直にうなずけない」という状況では、この本のコンセプトがぴったり。話が長くなるほど言い訳や反論のように聞こえてしまうため、ひと言を連ねたリレーで返事したほうがいいのです。

まずは最初から相手の話を否定せず、いったん受け止めることが大事。「そうですよね」「おっしゃる通りですね」と受け止める姿勢を示しましょう。その次に「正直なところ」「お恥ずかしい限りですが」などとクッションの言葉を入れてから、「ちょっとまだよく理解できてなくて」「こうだと思っていたのですが……」などと、うなずけない理由を伝えればいいのです。

さらに、「ごめん」「申し訳ございません」などの軽めの謝罪で締めくくれば、相手はさらに詳細を話そうとするか、「うまく話せなくて申し訳ない」「わがまま言ってごめんね」などとフォローしてくれる可能性もあるでしょう。

また、少し不機嫌にさせてしまったときは、自分はできるだけ話さず、相手にその理由や思いのたけを話してもらうことで納めてもらいましょう。なかでも「話をあまり聞いていなかった」「失礼なことを言ってしまった」など、明らかに自分に非があるときは、ひと言のみの謝罪がベター。「ごめん」「申し訳ございません」と詫びを入れてから、「二度としません」「心から反省しています」「弁解の余地もないですね」と低姿勢かつ丁寧なフレーズで言い切ったほうが、相手はそれ以上不満を抱きにくいものです。

このテクニックで大事なのは、あまり時間がなくても焦らず、ある程度うなずける状態まで相手に話してもらい、それをじっくり聞こうとすること。すると、自分の理解が浅かったことに気づいたり、一部でも共感できるところを発見できたりなど、わかり合えるきっかけが生まれますし、そんな姿勢が好感を呼ぶこともあるでしょう。

単に相手のテンションを下げるような言い訳や反論を避け、「あなたとこんなに向き合っていますよ」「それでもやっぱりあなたと話したい」という気持ちを感じさせられたら、何の問題もないのです。

 

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『話しかけなくていい!会話術』
木村隆志 著
CCCメディアハウス

 

texte:TAKASHI KIMURA

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