【立田敦子のカンヌ映画祭】賞レース、濱口竜介VSレオス・カラックスの対決か?
Culture 2021.07.16
11日間に渡る映画祭も折返し地点を過ぎた。カンヌ現地では各専門誌がコンペ作品を中心にジャーナリストによる星取りを展開している。それをもとに、作品の評判を中間報告として紹介しよう。コンペに選出された24本中14本の中で、いま最も評価が高いのは濱口竜介監督の『ドライブ・マイ・カー』だ。「スクリーン・デイリー」では、4点中3.5を取っている。2番手には、オープニングを飾ったレオス・カラックスの『Annette』(原題)で4点中3だ。3点台はこの2本のみで、3番手にはポール・バーホーベンの『Benedetta』(原題)が続く。正直、3点台が2作品しかないのは異例で、そういう意味では今年のコンペは低調といえるかもしれない。
濱口竜介監督の『ドライブ・マイ・カー』
『Annette』(原題)
『Benedetta』(原題)
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今年の審査員は、『ブラック・クランズマン』(2018年)で第71回カンヌ国際映画祭グランプリを受賞しているスパイク・リー審査員長のもと、オーストリア人監督ジェシカ・ハウスナ―、アメリカ人女優マギー・ギレンホール、フランス人女優で監督でもあるメラニー・ロラン、カナダ生まれフランス在住シンガーソングライターのミレーヌ・ファルメール、韓国人俳優ソン・ガンホ、アルジェリア系フランス人俳優タハール・ラヒム、セネガル系フランス人監督マティ・ディオプ監督、ブラジル人監督クレーベル・メンドンサ・フィリオ監督の9人。男女比は、女性が5人で男性が4人という構成だ。
これまで上映された作品には、社会派の雄であるスパイク・リーのお眼鏡に叶いそうなザ・社会派の作品はほとんどないが、彼の好みがどう審査に反映されるのかが興味深いところだ。
ルイ・ヴィトンのカスタムスーツとシャツを着用して登場したスパイク・リー。©LOUIS VUITTON
後半は、『ブンミおじさんの森』(10年)でパルムドールを受賞しているタイのアピチャッポン・ウィーラセタクン、『ディーパンの闘い』(15年)でパルムド―ルを受賞しているジャック・オディアールなどのベテラン勢が登場。『フロリダプロジェクト 真夏の魔法』(17年)のカンヌ「監督週間」で上映され注目を浴びた、アメリカの気鋭監督ショーン・ベイカーも初めてコンペに参加する予定だ。
ちなみにフランスではコロナ感染が再び拡大しており、7月12日にマクロン大統領が再び規制を強化することを発表したが、映画祭ディレクターであるティエリー・フレモーは、規制強化が実施されるのは映画祭終了後の19日からであり、運営には直接の影響がないことを強調している。
text:Atsuko Tatsuta