美学を持つ人たちの選ぶ、美しい本。 木の実の鞄を携えてやって来た、小さな留学生の物語。

Culture 2021.08.19

美意識を育んでくれる一方、選ぶ段階からセンスが問われる映画・本・音楽。多方面で活躍する憧れの彼女たちが独自の観点で選んだ、主人公の生き方や洗練の描写など、至極の美を体現する作品を紹介。

作家、翻訳家の松田青子さんが選んだ1冊はショーン・タン著『エリック』。松田さんがこの本に感じる美しさとは?


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一流の脚本家が綴る、散文の巧さ。これぞエッセイの極致。

『エリック』

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ショーン・タン著 岸本佐知子訳 河出書房新社刊 ¥1,100

「ホームステイにやってきた不思議な生き物、交換留学生のエリックのお話なのですが、絵と物語が本当に素敵で、心が温かくなります。クルミやピーナッツの殻の鞄を持って現れるところも可愛い。小さなエリックは好奇心旺盛だけれど、大きな街で暮らしていても、瓶のフタや切手、ボタンなど、小さなものにばかり興味を持って、何を考えているのか、いまいちわかりません。でも、それが素晴らしいラストに繋がっていきます。若草色の表紙が愛らしい小さな絵本で、贈り物にもぴったり。我が家の2歳児もまだ文字は読めないですが、サイズがちょうどいいので、よくこの本を抱きしめています。子どもにも大人にも、大切に持っていてほしい一冊です」

松田青子作家 / 翻訳家
AOKO MATSUDA
近著に『男の子になりたかった女の子になりたかった女の子』『持続可能な魂の利用』(ともに中央公論社刊)など。

※『フィガロジャポン』2021年7月号より抜粋

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