美学を持つ人たちの選ぶ、美しい音楽。 異国の女性シンガーに、シシド・カフカが見いだす美。

美意識を育んでくれる一方、選ぶ段階からセンスが問われる映画・本・音楽。多方面で活躍する憧れの彼女たちが独自の観点で選んだ、主人公の生き方や洗練の描写など、至極の美を体現する作品を紹介。

歌手、ドラマー、そして女優として活躍するシシド・カフカさんが選んだ1曲はマリ・ポキネンのアルバム『22』より「Sõpradele」。この曲に見いだされる美しさとは？

RECOMMENDED >> MUSIC

強く凛々しく清らか、憧れずにいられないクリーンな佇まい。

「Sõpradele」
『22』より

マリ・ポキネン　パナイ／ネイチャーブリス　¥2,619

「この音楽に出合ったのは、もう8年前のこと。CDショップでの、いわゆる“ジャケ買い”でした。最初は、異国の言葉や聴きなじみのないリズムにおもしろさだけを感じたもの。でも、人生に疲れや鬱屈した感情を抱いた時に聴き直したこの曲は、私の見ていた世界を違う景色に変えてくれました。“知らない言語だから、かえって気軽に聴けるのかな”とも考えたのですが、そうではなく、この曲の持つシンプルさや歌声の清らかさに、強く惹かれているんだと気が付いて。きっと彼女は、ひとりギターを持ってステージに立ち、歌うのでしょう。その背中は、きっと凛々しい。そんな強さと清らかさを持つ女性を、私は“美しい”と形容し、憧れてしまうのだと思います」

※『フィガロジャポン』2021年7月号より抜粋