桜の開花とともに確かめたい、注目の美術館4選!

Culture 2021.03.20

桜が開花し、春めいてきた東京。お花見には行けないけれど、これだけは見に行きたい展覧会を厳選!


ポストコロナ期にライゾマが提示する新しい人間性。

『ライゾマティクス_マルティプレックス』

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Squarepusher『Terminal Slam』2020年(参考図版)。多様な分野のアーティストとのコラボは世界的に評価が高い。

設立15年を迎えるライゾマティクス(通称ライゾマ)。ビョーク、野村萬斎など世界的なアーティストや研究者とのコラボレーションなど、多様なプロジェクトを通してテクノロジーと人間の関係を探求し、表現の可能性に挑んできたクリエイティブ集団だ。

ライゾマの表現活動の最も先鋭的な特徴のひとつは、オンラインだけでもオフラインだけでも成立しえない、バーチャルとリアルの領域を往来するハイブリッドな作品世界を構築してきたことにある。ELEVENPLAYやPerfumeとのコラボも、ビジュアルデザインとプログラミングから生成されるフィジカルなパフォーマンスをもとに、動きや空間と観客を結びつけるメディアに変容させ、未知の身体性を視覚化し共有する試みにこそ、彼らの独自性がある。

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Perfume『Reframe 2019』2019年(参考図版)。リアルな身体ありきのパフォーマンスを独自のメディアに変容し観客と共有する。

高度情報化社会でバーチャルとリアルの間を揺れ動く身体をもてあます私たちは、自身を取り巻く世界をどのように理解するべきなのか。ライゾマはそのリアリティに多様な角度からアプローチしてきた。本展では、コロナ禍に彼らが取り組んでいるソーシャルディスタンスのためのリアル空間と同じ音や距離感覚の再認識をもたらすプラットフォームも紹介。さらに絶え間なく変化する「現在」と同期する新作プロジェクトも発表する。ポストコロナの社会に新しい人間性とコミュニケーションのあり方も提示する切実な展覧会となりそうだ。

『ラ イゾマティクス_マルティプレックス』
会期:3/20~6/20
東京都現代美術館(東京・清澄白河)
営)10時~18時
休)月(5/3は開館)、5/6
料)一般¥1,500
※予約優先チケットあり

●問い合わせ先:
tel:050-5541-8600(ハローダイヤル)
www.mot-art-museum.jp

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多様なイメージを生む、リンゴを巡る冒険。

『りんご宇宙―Apple Cycle / Cosmic Seed』

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雨宮庸介『Apple』2018年。彼の代表作である、本物より「らしい」精緻な木彫作品は、その存在を巡る壮大な思考の連鎖を生む。

西洋美術では古来より豊穣や生命の儚さの象徴として描かれてきたリンゴ。本展ではその表象のみでなく、現代作家の豊かな思考と想像に着目。生と死、循環、種子、変容、宇宙規模に展開される多様なイマジネーションに基づく新アプローチを紹介。

『りんご宇宙―Apple Cycle / Cosmic Seed』
会期:4/10~8/29
弘前れんが倉庫美術館(青森・弘前)
営)9時~17時
休)火(4/27、5/4、8/3は開館)
料)一般¥1,300
tel:0172-32-8950
www.hirosaki-moca.jp

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芸術の本質である「想像力」の喚起と継承。

『3.11とアーティスト:10年目の想像』

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小森はるか+瀬尾夏美『二重のまち/交代地のうたを編む』2019年。震災直後から被災地に通い、年月の経過と変化を見つめ続ける。

東日本大震災から10年。当時罹災し臨時の避難所となった美術館では、大震災を受けてのアーティスト活動を紹介した2012年の企画展に続き、厄災に応答する表現を紹介。災禍が露わにする「想像力の欠如」に向き合い、芸術の本質である「想像力を喚起」する表現を通じて、後世に語り継ぐ取り組みに注目する。

『3.11とアーティスト:10年目の想像』
会期:開催中~5/9
水戸芸術館現代美術ギャラリー(茨城・水戸)
営)10時~18時
休)月(5/3は開館)
料)一般¥900
tel:029-227-8111
www.arttowermito.or.jp

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抽象表現を中心としたコレクションの発展形。

『STEPS AHEAD 新収蔵作品展示』

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アンリ・マティス『ジャッキー』1947年。同時期の切り紙とともに、素描は手を介したグラフィック表現の系譜に革新をもたらした。

抽象表現を中心に20世紀初頭からの現代美術や日本の近世美術など、石橋財団が近年幅を広げてきた新しい収蔵作品の一部を紹介。抽象表現主義の女性画家たち、1970年より内外の現代美術の現場をとらえてきた写真家・安齊重男らによる芸術家のポートレートなど、多岐にわたるコレクションの現在地を見せる。

『STEPS AHEAD 新収蔵作品展示』
会期:開催中~5/9
アーティゾン美術館(東京・京橋)
営)10時~18時
休)(月5/3は開館)
料)一般¥1,200(日時予約制ウェブチケット) 

●問い合わせ先:
tel:050-5541-8600(ハローダイヤル)
www.artizon.museum

*『フィガロジャポン』2021年5月号より抜粋

●新型コロナウイルス感染症の影響により、開催時期および開館時間が変更となる場合があります。最新情報は各展覧会のHPをご確認ください。

réalisation : CHIE SUMIYOSHI

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