日本とフランスのクリエイターが築いた蜜月関係とは?

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19世紀後半、画家のモネやゴッホ、作曲家のドビュッシーなどの西洋の芸術家たちは日本を訪れたことがないにもかかわらずこの国に心奪われ、日本かぶれともいえるジャポニスム現象を生み出した。そして21世紀のいま、単に日本のものからインスピレーションを受けるだけでなく、フランスを飛び出し、日本で暮らし、日本の職人たちと一緒にものづくりに取り組むフランスのデザイナーもいる。進化した現代のジャポニスムを体現する彼らの活動を紹介します。

エルメスやサンルイ クリスタル、アレッシイのためのプロダクトを手がけるデザイナー、ピエール・シャルパン。木に何層もの漆を塗ることで器などに強度を持たせる日本の漆の文化に惹かれた彼は、2012年、京都に数か月で暮らし、漆塗りを生かしたプロダクトの開発に取り組んだ。当時は具体的な形では実現しなかったものの、その後、同じく日本のものづくりを見守ってきたエルメスによってプロダクトへと結実した。

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エルメスのために制作したセンターピース「半球 コレクション」
木と漆、2016年

ファッションデザイナーのオロール・ティブーは資生堂の旗艦店、Shiseido The Storeのウィンドウを飾るアートワークも手掛けるクリエイターだ。ファッションの分野で活動する彼女は植物から抽出した染料で衣服をまとう日本の草木染め文化を自身の創作に取り入れようとする。そして京都の型染め職人、赤坂武敏氏の力を借りて紫色が高貴なアカミノキで染めたドレスを制作した。

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「パッサージュ」
絹にアカミノキから抽出した天然染料、2015年

日本を再解釈するという姿勢でものづくりに取り組んだデザイナーも多い。そのひとりがフランソワ・アザンブール。再解釈したのは廃棄されるカンナ屑!京都滞在中に彼が出会った大工たちがカンナで木材を仕上げる工程で、紙より薄いカンナ屑が宙で舞い踊るさまを目にしたとき、アザンブールは廃棄物に宝の原石としての可能性を見つけることになった。カンナ屑が丸まった状態のものをいくつも並べて芯に、カンナ屑を板状に伸ばしたものでサンドイッチして作ったのが屛風。光りを柔らかく透過させるので障子紙の代わりに使ったら、香りもよいし、よさそうだ。

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「おが屑の屛風」
柿渋塗料を施したトウヒのカンナ屑、樺の木の合板、木工用ボンド、蝶番部分に麻糸、2015年

日本の和菓子文化を再解釈したデザイナーもいる。シェフ、ギー・サヴォアのためのテーブルウェアのデザインも手掛けてきたアンヌ・クシラダキス。彼女は和菓子の作り方をつぶさに観察するうちに、和菓子は餡や餅などの素材が用意されていれば、洋菓子と違ってあとは食べる人の前で完成させることができることに気づいた。ならば、お菓子を食べる人の目の前で作るための道具であり、かつ食べる人にとっての菓子皿にもなるハイブリッドな道具を作ろうと考えた。

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「菓子皿にもなる製菓器 3」
真鍮に錫のコーティング、2016年

クシラダキスは和菓子と器の関係の再解釈にも取り組んだ作品を展示している。「仕草の形」は茶道家の木村宗慎のお茶をたてるときの手の動き、和菓子を出す際の身のこなしをつぶさに観察する中、生まれたもの。何度もお点前を体験する中、茶席とは主客のインタラクティブなコミュニケーションの場であると捉えた。主人の選んだ道具を客人がどう推し量るか、その遊びの要素を菓子器に取り込みたいと古典的な大徳寺縁高の面影を残しつつ、箱ではない新しい菓子器の姿をデザインした。こうした菓子器の提案によって、今度は全く新しい和菓子が生まれるかもしれない。

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「仕草の形」茶道家 木村宗慎とのコラボレーション 
金属、漆、2016年

こうした日本のものづくりに心奪われたフランスのデザイナーたちが日本の職人たちとともに作った作品を見ることができる展覧会「響き合う創造」が東京都美術館で開催中だ。
展覧会は京都にあるフランスと日本の文化的対話のための滞在型施設ヴィラ九条山で数か月間暮らし、木工、漆、陶器、ガラス、金工、織物などの京都の職人たちとともに日仏協働の新たなものづくりに取り組んだ28組のデザイナーたちの成果発表の場となっている。
日仏交流160周年に沸く2018年。日本の職人とフランスのクリエイターの蜜月関係を見に行ってもらいたい。

「Creation sous influence - 響き合う創造 - 」
期間:~11月26日まで
会場:東京都美術館 ギャラリーB 
入場無料
公式サイト
https://www.institutfrancais.jp/tokyo/events-manager/creation-sous-influence/
realization: kanae hasegawa

texte:KANAE HASEGAWA

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