なら国際映画祭2020、リアルとオンラインで開催。

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コロナ禍のいま、映画祭はどうあるべきか――。河瀨直美監督がエグゼクティブディレクターを務め、今年で第6回を数える「なら国際映画祭」が、リアルとオンラインのハイブリッドで9月18日~22日まで開催する道を選んだ。

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なら国際映画祭は平城遷都1300年目の2010年にスタート。2年に一度開催される。左がエグゼクティブディレクターを務める河瀨直美監督。右は映画祭理事長の中野聖子。

目玉のひとつは、9月18日のオープニングセレモニーを東大寺・大仏殿にて行い、レッドカーペットを敷くこと。世界遺産でもある奈良の史跡を背景にしながら、パンデミックに見舞われたこの時代に映画愛を発信する試みに、映画祭の運営側の意気込みを感じる。そしてこれは、河瀨監督のアイデアでもある。

映画祭の本来の役割とは、映画の未来に向けて才能ある新人を発掘したり、世界中の映画人がひとところに集まり討議やワークショップを行うことによって、映画産業・映画芸術すべての活性化を促進すること。なら国際映画祭は、カンヌ国際映画祭やベルリン国際映画祭のポリシーなども参考にしながら、新しい才能の発掘と育成はもちろんのこと、「奈良」という場所の魅力を映画にのせて強く発信していく。各部門にそれが色濃く反映されている。

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NARAtive――若手映画作家と奈良を繋ぐ。

ジャパンプレミアとして上映されるのは、前回(2018年)のなら国際映画祭のNARA-wave学生部門で受賞し、映画祭のサポートを受けて奈良で撮影された『再会の奈良』。中国から応募したポンフェイ監督は37歳。本作のエグゼクティブプロデューサーに、河瀨監督とともにジャ・ジャンクー監督がつき、日中の俳優の共演も果たした。

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中国から奈良に訪れた年配女性と、日本に住むシャオザー、そして元警官・一雄。3人は老女の養女・麗華を一緒に探すことになるが……。『再会の奈良』●監督・脚本/ポンフェイ ●出演/國村準、ウー・ヤンシュ、イン・ズー、秋山真太郎(劇団EXILE)、永瀬正敏 ●2020年、中国・日本映画 ●99分

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International Competition――メインプログラムで本映画祭の実力を感じる。

どの映画祭でもそうだが、メインプログラムであるコンペ部門の最高賞がいちばん注目されるべき作品となる。今回は、57カ国から計256本もの応募作があり、8本を厳選上映。ヨーロッパ、カナダ、南アフリカ、マレーシア、インド、韓国など、セレクトされた8作はすべて国が異なる。貧困社会や移民問題、環境問題など、現実的な問題に向き合った作品がほとんど。最優秀賞には「ゴールデンSHIKA賞」、観客の人気投票1位には「観客賞」が送られる。奈良という土地柄に由来するSHIKA賞のネーミングはほほえましいが、映画祭が開催される地域と密接に繋がっている証でもある。ちなみに、地中海の港町カンヌはパルム(椰子)、ドイツのベルリンは熊、ヴェネツィアは街の象徴として歴史的に崇められている翼のあるライオンなどが、賞のネーミングやトロフィとなっている。

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韓国の貧困層や裏社会のリアルを描く。主人公ヘスの視点で、無駄をそぎ落とした演出の作品。『ホコリと灰』●監督/パク・ヒークワン ●2019年、韓国映画 ●79分

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雇い主の結婚パーティに招待されるのか…‥? ダージリン地方を舞台に胸騒ぐ少年の物語。『ウェディングインビテーション』●監督/サウラヴ・ライ ●2019年、インド映画 ●85分

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ある殺人事件の、加害者の母と被害者の母。事件が明るみになるにつれ、報道によってふたりの母の人生が狂っていく。『ビクティム(たち)』●監督/レイラ・ジューチン・ジー ●2020年、マレーシア映画 ●108分

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若い映画作家たちを応援。

メインのインターナショナルコンペティション部門以外にも、あらゆる形で若き映画人たちを応援するプログラムが控えているなら国際映画祭。NARA-wave学生映画部門は、NARAtiveのポンフェイ監督が前回応募した部門だが、学生が作った映画や映像作品を対象としている。今回は35カ国から200本以上の応募作があり、最優秀作品賞には「ゴールデンKOJIKA賞」が送られる。今回は11作品が上映される。

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『ザ・サウンド・オブ・ザ・セイフ』●監督/クララ・ソニエ ●2019年、フランス映画 ●23分

ユース映画審査員部門は、パートナーシップを結んでいるベルリン国際映画祭のジェネレーション部門推薦の長編5作と、ショートショートフィルムフェスティバル&アジア推薦の短編5作を上映。あえて10代の若者たちを審査員としてエントリーし、「映画を観るチカラ」を養う部門となっている。

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『コクーン』●監督/レオニー・クリッペンドルフ ●2020年、ドイツ映画 ●95分

ワークショップではユース映画制作として、12名の中高生が2チームに分かれて奈良を舞台に映画を制作。原案・撮影・編集のワークショップでは、脚本家で映画監督でもある中川龍太郎が講師を務める。このワークショップから生まれた2作は、映画祭で上映される。

今回、初の試みはユースシネマインターン。映画は作るだけではない。出来上がった作品を宣伝・配給し、観客に届けることも重要な仕事である。そんな映画の宣伝・配給の仕組みを若い世代が学べるプログラムである。

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カタラン・フォーカス――カタルーニャ地方の若き女性映画人からメッセージ。

スペインのカタルーニャ地方は、独立国家を目指す運動もある独自文化エリア。ここ出身の女性映画作家6作品をピックアップし、上映する。

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『ペルセウス座流星群』 ●監督/アンニァ・ガバロ&アルベルト・デシェウス ●2019年、スペイン映画 ●72分

映画愛で繋がる、さまざまなプロジェクト。

ほかにも、俳優・映画監督の齊藤工監督作品、俳優の永瀬正敏や加藤雅也セレクション、LDHセレクションなど、なら国際映画祭にゆかりのある目利きの著名人たちが選んだ作品の特別上映や、春日大社奉納上映、東大寺特別上映など、地の利を生かしたユニークな上映イベントもたくさん!

ティーチインやQ&Aなど、来日できない海外の映画の作り手たちとの交流も、コロナ禍こそのオンラインを駆使した形で実現を目指している。

大和の国の始まりともされる古都・奈良にて、映画愛をうたう祭典、ぜひ参加してみてほしい。

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「なら国際映画祭」
期間:9/18(金)~22(火)
オンラインチケットは現在発売中
https://nara-iff.jp/2020
※映画祭への応援動画は以下で公開中
www.youtube.com/watch?v=QR7dFpN1N3A&t=8s

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