Culture 連載

きょうもシネマ日和

B.B、J.バーキンを虜にした異端児セルジュの一生を描く
『ゲンスブールと女たち』

きょうもシネマ日和

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その日は大人の夜だった。
「ゲンスブールナイト2011 その2」
会場は、東京西麻布のスーパーデラックス。

フランスの異端児と呼ばれたセルジュ・ゲンスブールの生誕83周年を祝うイベントには、

フレンチ界&ファッション界のカリスマ的存在、元ピチカート・ファイヴの野宮真貴さんを筆頭に、
サエキけんぞうとClub Je t'aime
featuring いまみちともたか
Baguette Bardot meets 秘宝感
日比谷カタン
サカイレイコ
elect-link
nero etc...といったフレンチ界を彩るゴージャスなメンバーが顔を揃えた。

さらには、"川勝正幸&梶野彰一トークLIVE"や、
"シニア・ソムリエ
野田幹子のワイントーク"といった、スペシャルなコーナーも盛り込まれた贅沢な内容。

いかに、セルジュ・ゲンスブールがさまざまなアーティストや知識人に愛されていたかがわかる。

そんな中、私も憧れの皆さんに混じってジェーン・バーキンやフランス・ギャルのナンバーをリリック・パフォーマンス(彼女らの曲を流しながら、日本語歌詞で演じる)を披露させて頂いた。

と、私はともかく(笑)

約6時間にわたるイベントにもかかわらず大盛況で、セルジュとともに生きてきた大人たちが一緒に笑い、感動するという貴重なひとときだった。

セルジュ・ゲンスブールは、1991年、62歳で急逝した芸術家。作詞家・作曲家・歌手・映画監督・俳優・画家と多才な才能を持ちながら、反骨精神も強く、タブーなんて何のその。ちょっぴり(かなり)エッチな歌(放送禁止の目にも・・・)や、女性としてはコメントしづらい領域にまで踏み入った作品を作っては、世間を驚かせてしまう、まさに"異端児"だった。

酒とタバコ、音楽と自由をこよなく愛し、スキャンダラスな話題にも事欠かず、ブリジット・バルドーやジェーン・バーキンとの熱愛ぶりは有名だ。

といっても,ゲンスブールなプレイボーイなだけじゃない。
ふたりのほかにもフランス・ギャル、ジュリエット・グレコ、ヴァネッサ・パラディなどの才能を開花させ、娘のシャルロットまでもその魅力を余す所なくスクリーンに表現してみせた。

そんなゲンスブールの生涯が、この度映画化されたのだ。


0428mic_02.jpg『ゲンズブールと女たち』でセルジュ・ゲンズブールを演じるエリック・エルモスニーノ。

監督は、バンドデシネ作家(フランス語圏の漫画)のジョアン・スファール。かねてからゲンスブールマニアで、彼に憧れてパリへ引っ越してきた1カ月後に、セルジュは永遠の眠りについてしまったという。

そんな彼が初監督した本作は、ゲンスブールへの愛情がたっぷりと込められている。たった2時間で彼の波瀾万丈な一生を描ける訳はないけれど、それでも彼を運命づける出来事を折り重ね、そこで出会う女たちとの交わりを描いてみせた。

冒頭の子ども時代のシーンも興味深い。
ユダヤ人で醜男といったコンプレックスを持ち、彼に似た大きな人形が現れ、常につきまとい本人との会話を繰り返す。こういったバンドデシネ作家らしいファンタジックな演出は好みが分かれるとは思うが、今まで知らなかったゲンスブールの葛藤が垣間見られるのは、うれしい。

また気になるのは、実在の超有名な"女たち"を演じる女優たち。

ジュリエット・グレコ役アナ・ムグラリスのシーンが特に私はお気に入りだった。あの貫禄とハスキー・ボイスは素敵すぎた!
ブリジッド・バルドーは、トップ・モデルであり映画『歓楽通り』にも出演していたレティシア・カスタ。ジェーン・バーキン役は、『スパイダーマン3』のルーシー・ゴードン。(この撮影の後、自ら命を絶ち、多くの関係者が悲しみの声を寄せた。)


0428mic_03.jpgジュリエット・グレコ役のアナ・ムグラリス(左)。

彼女らがどこまで本人に近づいているかを判断するのは、ゲンスブールを含めて、それも本作の楽しみのひとつだろう。

もちろん彼が作曲した有名なナンバーも劇中でたくさん聴くことができる。
そのたびに、彼はなんてロマンティックで素敵なメロディを作るのだろうとウットリしてしまう。

今まで、ゲンスブールをよく知らなかった人には入門的存在として入りやすいかも知れない。

いずれにせよ、酒とタバコと女性を愛する渋いロックな男・・・なんて、最近出会っていない。時代の流れ、、、と言ってしまえば、それまでだけど、ちょっと寂しい気もする。

先日の「ゲンスブールナイト2011 その2」は、急遽、震災の為のチャリティイベントとなった。主催のサエキけんぞうさんは、「もしゲンスブールが生きていたら、きっと彼も寄付していただろう。そういう優しい男だった」とおっしゃっていた。

見た目はワイルドでも、根は優しいなんて、ますますセルジュ・ゲンスブールという男の魅力を感じずにはいられない。
そんな男が現れるまで、もうしばらく彼の残した曲を聴き続けていたいと思う。


『ゲンスブールと女たち』
●監督/ジョアン・スファール
●出演/エリック・エルモスニーノ、ルーシー・ゴードン、レティシア・カスタ、ダグ・ジョーンズ
●2010年、フランス=アメリカ合作映画
●122分 
●配給/クロックワークス
5月21日(土)より、Bunkamuraル・シネマ(Tel. 03-3477-9264)、新宿バルト9(Tel. 03-5369-4955)ほかにて公開。
http://www.gainsbourg-movie.jp/

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