心に響く、映画体験。

人生、やり直しにこそ意味がある! ぶざまでカッコいい男たちのハナシ。

心に響く、映画体験。

家でも外出先でも映画が観られる時代になったけれど、照明が落ち、予告編に続いて本編が始まる劇場での映画体験って特別なもの! 2020年に創刊30周年を迎えるフィガロジャポンは、松竹マルチプレックスシアターズが運営する新宿ピカデリーや全国のMOVIXなどを主な上映劇場とし、世界各国から選りすぐりのミニシアター系作品の公開に力を入れるピカデリー プライム レーベルとタッグを組み、「人生の一本」となるような劇場での映画体験を応援します。ピカデリー プライム レーベル作品レビュー第3弾は、本国フランスで大ヒットを飛ばした『シンク・オア・スイム イチかバチか俺たちの夢』。シンクロナイズドスイミングに挑戦する、田舎町の中年男の物語です。フランス映画界の名優たちが、リラクシングに楽しみながら、いわゆるミドルエイジクライシスを泣き笑い交えて演じています。幾つになったって人生、再生はあるさ!という勇気が出るメッセージをくれる一本。どうぞ、ご注目ください。

失業やウツ、人生の行き止まりに……。

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フランスで400万人を動員したという映画『シンク・オア・スイム イチかバチか俺たちの夢』は、シンクロナイズドスイミングに挑戦する男たちの物語。日本が誇る男子シンクロ映画『ウォーターボーイズ』は、妻夫木聡や玉木宏、杉浦太陽らが、ドラマ版には山田孝之、森山未來、瑛太らが出演し、まさに人気スターへの登竜門的ヒット作品だった。映画版の矢口史靖監督は、キャステングで水着姿の男子を並ばせ、そのお尻も審査したという逸話もあるほど、ブレイク直前の若人の肉体はキラキラ輝いていた。

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シンクロの大会が行われる会場に、国境を越えて遠路はるばるバスで向かう男たち。金欠対策でもあった……。 

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『サブウェイ』のスケート青年を演じたジャン=ユーグ・アングラードがいまやこんなオジサン役! でも、優男の美貌は健在だ。

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フランスの名優たちが共演。

かたや、本作のウォーターボーイズは、鬱病で2年間失業中のベルトラン、妻に逃げられたキレやすい金持ち社長ロラン、会社経営連続失敗中のマルキュス、ミュージシャンへの夢を捨てられず、娘の学校の食堂でバイトするシモンなど、ミドルエイジクライシスの真っただ中の男たち。オープニングにティアーズ・フォー・フィアーズの曲が流れるように、80年代に青春を謳歌した彼らの肌にいまやハリもなく、お腹は太鼓腹。がしかし、挙動不審のベルトランを演じるのは監督作『バルバラ セーヌの黒いバラ』など、俳優かつ鬼才監督として人気を誇るマチュー・アマルリック、何かと人を罵倒するロランにはマリオン・コティヤールのパートナーで映画監督としても活躍するギョーム・カネ、マルキュスには監督・主演作『ありふれた事件』でカンヌ受賞歴を持つ名コメディアン、ブノワ・ポールヴールド、そして薄くなった長髪が物悲しいシモンには、あの『ベティ・ブルー/愛と激情の日々』で女性ファンを魅了したジャン=ユーグ・アングラード!と、フランス映画界の才能たちが、揃いも揃ってダメ男役を競演する。

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なんだか観ているこちらも、シンクロやればできるんじゃないか?と思わせてしまうほど、許せる呑気さがあるキャラクターたち。

「シンクロは女のものだろ?」と馬鹿にされながらも、水中で心の重さから解放され、練習後にはサウナルームで自他への鬱憤を吐露し合い、心の垣根を少しずつ取り払ってゆく。そんな彼らは、同じく人生のつまずきを抱えた元シンクロ選手のコーチと手に手を取り合い、まさに“シンク・オア・スイム(イチかバチかの意)”の敗者復活をかけて、おっかなびっくり世界大会へと乗り込んでゆく。フィル・コリンズの「イージー・ラヴァー」が鳴り響くシンクロ会場で、果たしてウォーター‟オールド”ボーイズは華麗なる演技を披露することができるのか!?

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女性の影は薄い作品だが、良き友人のような存在として登場するコーチや妻たちの存在は好感度大。

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監督の着想源は?

英国の失業男たちがストリップで一獲千金を狙う『フル・モンティ』を思い起こさせるストーリーだが、本作では、現代の閉塞社会の迷える子羊たちが悪戦苦闘し、仲間と手を繋ぐことで生きる力を取り戻す姿を笑いと哀愁の中に描いてゆく。監督は、スウェーデンに実在する男性シンクロチームのドキュメンタリーを見て着想を得たと語っているそうだが、絶対に日本の『ウォーターボーイズ』も見ているはずで、映画には日本のウォーターボーイズへのリスペクトを感じさせるシーンも。そのあたりも、そしてフランスの人気者たちの勇姿!?も、ぜひ映画館の大きなスクリーンで目の当たりにしてほしい。

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ヨーロッパの田舎の風景は美しい。ミドルクライシスでの大挑戦をやり遂げた後の男たちの晴れやかな表情。昇る日を眺めながら。

texte : REIKO KUBO

『シンク・オア・スイム イチかバチか俺たちの夢』
●監督・共同脚本/ジル・ルルーシュ 
●出演/マチュー・アマルリック、ギョーム・カネ、ブノワ・ポールヴールド、ジャン=ユーグ・アングラードほか 
●2018年、フランス映画 
●122分 
●配給/キノフィルムズ
©2018 -Tresor Films-Chi-Fou-Mi Productions-Cool industrie-Studiocanal-Tf1 Films Production-Artemis Productions

2019年8月公開のピカデリー プライム レーベル作品『HOT SUMMER NIGHTS/ホット・サマー・ナイツ』の試写会にご招待します!

※こちらのご応募は終了いたしました。

※応募締め切りは2019年7月9日

応募は終了しました。

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