ダイアナ妃愛用の2枚のセーターが再発売されて話題に。

Fashion 2020.11.20

ニューヨークのブランド、ローイング ブレザーズ(Rowing Blazers)はブランド初となる女性コレクションを祝って、ダイアナ妃を象徴するふたつのセーターを再発売した。1980年代スタイルとダイアナ妃のプレッピーなワードローブへのオマージュだ。

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ダイアナ妃が愛用したふたつのセーターはrowingblazers.comで購入可。photo : Getty Images

ファッション界に最も影響力のある王室の人物といえばキャサリン妃だが、ダイアナ妃もまたその個性的な魅力が、いまも人々の記憶に残っている。とりわけ繊維産業において、彼女は最も人気がある(そして最も写真を撮られた)セレブリティだった。

ダイアナ妃のカジュアルなワードローブは80年代を思い起こさせるかもしれないが、セレブリティや最先端のブランドにとって、ローイング ブレザーズのようなファッションは、現在も普遍的なインスピレーション源となっている。プレッピースタイルが人気のニューヨークブランド、ローイング ブレザーズは、ブランド初となる女性コレクションのため、ダイアナ妃が着用したふたつの有名なセーターを再発売したのだ。

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1983年にダイアナ妃が着用した、柄物の赤いセーター。 Photo : Getty / Rowing Blazers

「1980代初頭、そしてダイアナ妃へのトリビュートです。ダイアナ妃はハイ&ローを完璧に組み合わせ、男性ファッションと女性ファッションの垣根を超え、常にユーモアを取り入れた着こなしをしていました」と、オンラインショップ上で同ブランドは述べている。

このコレクションでは、ダイアナ妃がたびたび着用したふたつのウールセーターをフィーチャー。ひとつは羊柄の赤いセーターで、1979年にワーム&ワンダフル(Warm & Wonderful)がデザイン。1994年以降は販売されていなかった。もうひとつは「I’m a Luxury」と書かれたペールピンクのセーターで、ジャイルズ&ジョージ(Gyles & George)とローイング ブレザーズのコラボ商品。1990年代以来、初めて販売される。

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ファッションアイコンだったダイアナ妃。

今回のコレクションにおいて、これらのセーターは明らかに重要な位置を占めている。“人々の心の王妃”が頻繁にこの服を着用し、色や柄、形を楽しんでいたことがその理由だ。

たとえば、85年に着ていた青と黒のボーダーセーター、86年にアバディーン空港で着用していたギンガムチェックのパンツに合わせたフューシャピンクのカーディガン、ポロ選手が刺繍されたオーバーサイズのジャージなどを思い出してほしい。

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ダイアナ妃の「I’m a Luxury」と書かれたローズ色のセーター Instagram @rowingblazers / ローイング ブレザーズ

今回のコレクションにはさまざまなレトロアイテムが揃っており、ノスタルジックなシルエットを思いきり楽しむことができる。同ブランドは赤い風船がプリントされた白いTシャツを提案している。88年にウィンザー城のガード・ポロクラブでダイアナ妃が着用した大きなブレザージャケットに合わせた「British Lung Foundation(英国肺財団)」モデルにインスパイアされたものだ。

いまもなお、ダイアナ妃がタイムレスなファッションアイコンであり続けることを証明するプレッピーなコレクションだ。

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ダイアナ妃の90年代ファッションを振り返る。

サイクルパンツ

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キム・カーダシアンもエミリー・ラタコウスキーも、サイクルパンツの普及に多大な貢献を果たしたダイアナ妃に感謝しているかも。スポーツルックとしても日常着としても大活躍。photo : Getty images

ダイアナ妃があえてこのアイテムにあえて挑戦したのはチャールズ皇太子と離婚したばかりの頃。解放感が服選びにも表れている。サイクルパンツに白いソックスの組み合わせは、ダイアナ妃がエアロビクスのレッスンに通うときのスタイル。

スポーツウエアがリバイバルヒットしているいま、多くのデザイナーのインスピレーション源になっている。サイクリング専用パンツは賛否両論あるものの、ランウェイにも登場。新しいタイプの日常着として再び旋風を巻き起こしている。大きめのメンズライクなシャツや、ビッグシルエットのテーラードジャケット、ヒールの高いロングブーツとも相性バッチリ。スポーツのコンテクストから脱して、ボディフィットしたボトムスにオーバーサイズのアイテムを合わせるバランス感がいまの気分だ。

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ヴィンテージのスウェット

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スウェットスタイルのリラックスしたムードのなかに気品を感じさせる佇まいが、いまインスタグラマーの間で人気を集めている。このルックをそのまま取り入れるインフルエンサーも多い。photo : Getty images

ダイアナ妃がロンドンのチェルシー地区にあるスポーツジム「ハーバークラブ」に行くときのお決まりはスウェットシャツ。息子のウィリアムを連れてガーズ・ポロクラブを訪れる時のスタイルも同様だ。

リラックスしたムードのなかに気品を感じさせる佇まいが、いまインスタグラマーの間で人気を集めている。このルックをそのまま取り入れるインフルエンサーも多い。

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パフスリーブ

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モノトーンの着こなしもパフスリーブで華やかに。photo : Getty images

パフスリーブは1980年代に取り入れて以来、ダイアナ妃のお気に入りとなった。落ち着いた雰囲気とモード性を兼ね備えた魅力的なアイテムだ。王室の厳しいドレスコードを考えるとコーディネートに悩むところだが、ダイアナ妃はこれを難なくこなしている。とりわけ記憶に残るのは、ウィンザー城で行われたポロの試合を観戦したときのスタイリング。バルーンスリーブの水玉模様のブラウスに、パイロットサングラス、ロング丈のプリーツスカートを合わせた着こなしだ。

現代のバルーンスリーブは、よりミニマルなデザインに進化中。アシンメトリックなスカートやスクエアトウサンダルと合わせるのがおすすめ。

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オーバーサイズブレザー

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スタイリングは、ハイウエストのジーンズにスウェット、肩を強調したブレザー。着こなしもさることながら、ポケットに手を入れたポーズとキャップも目を引く。photo : Getty images

1990年代、ダイアナ妃はリラックスしたシルエットをブレザーで引き締めるコーディネートを取り入れている。マニッシュなスタイルの直線的なシルエットや、肩を強調したデザインもお気に入り。ジーンズやTシャツ、タートルネック、スウェットを合わせ、足元はウエスタンブーツやスニーカーでまとめている。

身幅のゆったりとしたテーラードジャケットは現在、ランウェイも席巻中。マーク ジェイコブス、グッチ、カルヴァン クライン、ヴェトモンなど、多くのブランドがビッグシルエットのジャケットを提案している。2020年は、Tシャツ、スウェット、ストレートジーンズ、スニーカーかヌーディーなサンダルと合わせるのが旬。目指すはダイアナ妃だ。

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ハイウエストジーンズ

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ハイウエストでゆったりとしたデザインのマムジーンズは、ダイアナ妃のオフの日の装いに欠かせないアイテムになった。photo : Abaca

1990年代のダイアナファッションの要はなんといってもマムジーンズ。ダイアナ妃はハイウエストの明るい色合いのモデルを愛用した。ブラウスをインしてベルトでウエストマークし、ブレザーを羽織ってきちんとした印象に仕上げることが多い。日常着として、タンクトップ、スウェット、ブルゾンと合わせることも。ベルトは必須だ。

2000年代にはダサいアイテムとしてファッションシーンから退場していたハイウエストジーンズがここ数年再浮上。いまやトレンドアイテムのひとつに。スニーカーやスウェットはもちろん、リュクス系のアクセサリー使いでシックに着こなす。

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ベアショルダー

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肩から胸元にかけて大きく開いたミニドレス。photo : Abaca

1994年6月29日、ダイアナ妃はクリスティーナ・スタンボリアンのリトルブラックドレスを纏ってロンドンのセルパンティーヌ・ギャラリーに現れた。引き締まったボディラインを強調した、肩が大きく露出したミニドレス。前日に『インディペンデント』紙に掲載されたインタビューで結婚生活について触れ、不倫の事実を認めたチャールズ皇太子(夫婦は2年前から別居)への報復として、ダイアナ妃はこの「リベンジドレス」を選んだ。

今日、ベアショルダーは、リベンジとは関係ないトレンドアイテム。ベアショルダートップスにショートパンツを合わせて、セクシー過ぎないスタイリングに。

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カウボーイブーツ

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まさかと思うかもしれないが、カウボーイブーツにパンツをインする着こなしはいま、オリジナリティのある考え抜かれたルックに匹敵する最強コーディネート。ダイアナ妃はこのスタイリング術の先駆者だ。photo : Abaca

デニムとブレザーのコンビにブーツを合わせるのも1990年代のダイアナ妃の得意技。ヒールは低め、つま先はやや丸みのあるロング丈のものを愛用した。お気に入りの、ワイド気味のハイウエストジーンズやワイドパンツをブーツにインするのがダイアナ流。リラックスしたムードを演出しながら、足元をシャープに見せるテクニックだ。

数シーズン前からブーム再燃中のウエスタンブーツ。とくにデザイン性の高いものが人気だ。コレクションでも、ウエスタンブーツらしい尖ったシルエットのブーツがお目見え。こちらもマムジーンズやブレザーにぴったり。

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texte : Augustin Bougro (madame.lefigaro.fr), traduction : Hanae Yamaguchi

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