敬愛する人ジョルジオ・アルマーニ、おめでとう87歳!
Fashion 2021.07.11
7月11日、それはモードの帝王と呼ばれるジョルジオ・アルマーニの誕生日。御年87歳を迎えるいまなお現役で活躍を続けるジョルジオ・アルマーニの記念すべき日を祝して、これまでに掲載した誌面やウェブ記事の中から、特に印象深いことを紹介する。
本当の美しさはルックスではなく、仕草です。
2020年、COVID-19が蔓延しはじめてすぐ、モード業界の中でいち早くコメントを出したジョルジオ・アルマーニ。当時、インタビューを担当したライター川上朋子が、印象的な言葉を振り返る。
美しい見た目を実現するためには、優雅さ、バランス、誠実さ、そしてセンスがもっとも重要な要素であるといつも感じています。本当の美しさはルックスではなく、仕草です
「美しさを実現するための構成要素に、“誠実さ”が上がるのはさすがアルマーニだなと思います。軽薄で過剰なことをよしとしない彼にとって、自分の趣向、そして周囲の人たちにも常に誠実であることも重要だと。そして美しさの要は仕草。これもアルマーニらしいキーワード。一貫して、美しさは内側か滲み出ものと考えていることが伝わってきます」(川上)
そこには日付はありません。それは持続可能に役立ち、ファッションに対してスローダウンしなければならないということを表しています。まさに新型コロナウィルスが私たちに示した、いま取り組まなければならないことです
「新型コロナウィルスが蔓延し、ファッション界が混乱に包まれていた頃、アルマーニはすぐに声明を出しました。この危機的状況を好機に変えて、ファッション界を見直すべきとの彼のメッセージに多くの人が救われたはずです。キャリアを積み重ねながらも、柔軟な思考・対応能力、そして発信力に感服しました」(川上)
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「less is more」(少ないということはより多い)という考え方、より具体的にいうと「少ないことがよりよい」という思考は、私が母から独自に得た教義であり、今日でも私を支えています
「すべてにおいて慎重で、思慮深いアルマーニの生き方には母親の存在が大きく、歳を重ねたいまでも、それを心に留め置いて、ブレることなくものづくりに生かしているところには敬服します。華美を嫌いながらも、あふれるエレガンスは彼自身が幼少期から培ってきたマインドがベースになっていることがよく分かります」(川上)
ジェンダーレスに関する現在のオープンマインドなムードと、この点に関するさまざまな提案が生まれているのはいいことだと思います。ただ、一時的な話題性を得たいという欲望から、ショーで発表する世界観が維持されることなくすぐに終わってしまい、行き過ぎてしまう印象もある
「ジェンダーレスについては、アルマーニがデビュー以来、取り組んでいる題材。ジェンダーの垣根を越えたクリエイションを無理なく、そして洗練されたスタイルに落とし込むことができるデザイナーといえば、アルマーニだと思います。いまのモード界のジェンダーレス化を冷静に受け止めている発言も、とても彼らしいなと思いました」(川上)
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フィガロエディターたちが選ぶ、マイベストシューティング。
雑誌「フィガロジャポン」では、ジョルジオ アルマーニ、エンポリオ アルマーニともに数々のコレクションを紹介してきた。当時の担当編集者たちが特に印象深い撮影を振り返る。
▶2015年10月号より
「2015年夏、ミラノにオープンしたばかりのアルマーニの文化複合施設、アルマーニ/シーロスでシューティングした1枚です。アートとモード、非日常と日常、マスキュリンとフェミニン……相反する要素を軽やかに融合させた15年秋冬コレクションを、“アルマーニズム”がすみずみにまで息づく空間で撮影できたことは、忘れがたく貴重な経験でした」(担当編集・愛甲まみ)
▶2020年6月号より
「パリ・オペラ座バレエ団のエトワールである、ユーゴ・マルシャンがジョルジオ アルマーニの服を着て登場。モード撮影はもちろん、アスリートの撮影でも定評のある伊藤彰紀さんにモノクロでお願いしました。ユーゴにはジョルジオ アルマーニのメンズの服を着て、実際に踊ってもらいました。彼のダイナミックでしなやかな動きを目の前に、胸が高まり、感動するばかり。ユーゴの素晴らしい表現で、ファッションモデルが着こなす服とはまた違った新しい魅力を引き出してくれました」(担当編集・青木良史)
▶2019年9月号より
「2019年5月に12年ぶりに来日したジョルジオ・アルマーニ氏。それはブランド初のクルーズコレクションを世界に先駆けて国立博物館で発表した時のこと。前日のプレスカンファレンスで、「アルマーニらしさとは、完璧なダブルジャケットばかりじゃないんだ。日常着の中にこそスペクタクルであるべき」と語っていたのが印象的でした。この写真は、来日に合わせリニューアルされたアルマーニ/銀座タワーでオートクチュールコレクションを撮影したもの。営業終了後の静まり返った深夜の店内に、着物ケープを纏ったモデルの幽玄の美に心奪われたのを覚えています」(担当編集・菊地愛)