グレタ・トゥンベリ、ファッション業界に警鐘鳴らす。
Fashion 2021.08.23
スカンジナビア版ヴォーグの創刊号が捧げるテーマは自然、表紙を飾るのは環境活動家のグレタ・トゥンベリだ。インタビューで自分の信念を貫く姿勢を語った。
スカジナビア版ヴォーグの撮影現場でのグレタ。
気候危機は深刻度を増し、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)は地球温暖化の危険を世界各国に警告し続ける。そんななか、スカンジナビア版ヴォーグの創刊号が掲げたテーマは「自然と気候」。表紙を飾るのは、世界のリーダーたちに気候危機を訴え続けるスウェーデンの18歳の環境活動家グレタ・トゥンベリだ。
森のなかでベージュや明るい緑の服をまとい、馬を優しくなでるグレタ。ヴォーグの撮影は牧歌的な雰囲気に包まれて行われた。メイクはしていない様子だ。
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グリーンウォッシングとユーズド
撮影だけでなくグレタはヴォーグのインタビューにも応じ、ファッション産業、特にファストファッションが環境に及ぼす悪影響を厳しく非難した。「ファストファッションを買うことは、この業界を応援し、その発展を後押しすることにつながる行為です。つまりこの有害な経済活動が続くことに貢献していることになります。もちろん人によってはファッションが自己表現の手段であり、アイデンティティーの一部であることは理解していますが」
しかしグレタは妥協を許さない。インスタグラムで自分の考えをこのように発信している。「ファッション産業は環境危機と気候危機に大きく加担しています。さらにファストファッションのために、世界中で数え切れないほどの人や地域社会が搾取され続けています。使い捨て商品として扱われるファストファッションを楽しむため、こんなことが行われているのです」
広告代理店に大金を払って、エコ意識を吹聴するブランドにもグレタは非難の目を向ける。「多くの場合、これらは単なるグリーンウォッシング(*うわべだけ環境に配慮しているように見せること)にすぎません。いまの地球の状況を見れば、ファッションを大量生産することも“サステイナブル”に消費することも無理だとわかるはず。だから私たちは根本にあるシステムを変えなければならないのです。変えなければならない理由は他にもたくさんあるのですが」
グレタ自身の暮らしはファストファッションから遠く離れている。3年以上服を買ったことがないし、最後に買ったものはユーズドだったと言う。「知人に服を借りるの」とグレタは言う。撮影の衣装も彼女の価値観と一致するように、サステイナブルな素材もしくはリサイクル素材でできたものしか利用していない。ヴォーグはプレスリリースでそのことを強調した。
また、グレタはインタビューで自分が論争のターゲットになっていることについても言及する。「時には自分の考えなどなく、親の言いなりの子であるかのように書かれたり、時には人を操る卑しい子だと叩かれたりする」と。
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志の高い、高潔な創刊号
同誌が環境問題を取り上げるなら、鋭い意見を発信し、国連の場で世界のリーダーたちと臆さず向き合うグレタを起用するのは筋が通っていることだ。
雑誌の印刷方法に関してもスカンジナビア版ヴォーグはインスタグラムでこのようなキャプションで付け加えている。「我々が使った素材は可能な限り地球に影響を及ぼさないようあらゆる配慮を施した」と。グレタの言葉と反比例していないことを願う。
text : Léonie Dutriévoz (madame.lefigaro.fr)