シャネルを紐解く24のキーワード

シャネルのキーワード01 客船「ラ パウザ」号とは?

シャネルを紐解く24のキーワード

シャネルの魅力を多彩なキーワードから紐解く新連載がスタート! ファッションアイテムや人物、メゾンにゆかりのある街や建築……それぞれのキーワードに込められた意味を知れば知るほど、メゾンの奥深い魅力に触れることができるはず。第1回の話題は、2018/19年 クルーズ コレクション。今回のコレクションのインスピレーション源のひとつである、会場にも象徴的にその名が使用された、シャネルに縁のある場所とは?

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© CHANEL

いつもあっと驚く仕掛けで、ゲストを楽しませてくれるシャネル。先ごろ、パリで発表された2018/19年のクルーズコレクションの会場、パリのグラン ・パレでゲストたちを待ち構えていたのは、巨大な豪華客船「ラ パウザ号」だ。

このコレクションでは、クルーズの旅や海辺で過ごすリラックスした時間をこよなく愛したガブリエル・シャネルが、フレンチ・リヴィエラの一角に所有していた地中海を見渡せる場所に建つ邸宅「ラ パウザ」がヒントのひとつに。ボーダー柄のパンツやラフなニット、そしてネイビーのジャケットなど、まるで船員たちの制服を想起させるデザインのカジュアルなルックでショーは幕を開ける。

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Look 1、13 © CHANEL

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Look 25、34 © CHANEL

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Look 56、88 © CHANEL

船が停泊する波止場を闊歩する、マリンルックのモデルたちは一様にリラックスしたムードを纏っている。肩の部分にボリュームを持たせたシルエットで新鮮さをプラスしたジャケット。そして、明るいピンクを多用したシリーズなど、メゾンのアイコニックな素材、ツイードも存在感を放つ。さらには、海を想わせる美しい青が主役のプリントやクラフトマンシップを駆使して描くボーダー柄など、マリンなテイストが詰まったディテールも目を引いた。

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© CHANEL

Impressions After the Cruise 2018/19 Show — CHANEL

Mot-clé 01 / シャネルのキーワード 01

ラ パウザ  La Pausa

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© CHANEL

 

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© CHANEL

 

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© CHANEL

1930年に完成した地中海風ヴィラで、ガブリエル・シャネルの生涯を通し、構想から内装にいたるまで自身で手がけた唯一の邸宅となる。フレンチ・リヴィエラの一角に建ち、カップ=マルタンの海を望むロクブリュヌの高台に佇む、このヴィラの名は、エルサレムから旅を続けていたマグダラのマリアが、その昔、この地の礼拝場で休憩をとった(休憩した=paused)という伝説にちなんだもの。
ヴィラの設計を担当したのは、ウエストミンスター公爵を通じて知り合った若手建築家、ロバート・ストレイツで、建物の随所にガブリエル・シャネルが幼少期を過ごした修道院を想起させる造りが散りばめられていた。その特別な空間で、彼女は20年間にわたり、気のおけない友人たちとリラックスした時間を過ごした。ガブリエル・シャネルは1954年、ウエストミンスター公爵がこの世を去ったときに、このヴィラを売却したが、2015年にシャネル社が再び、買い戻した。

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軽快でプレイフルなアクセサリー。

モダンなマリンルックを完成させるために、大きなキーを握っていたのがバッグや靴などの小物たち。パリジェンヌの小粋なスタイルに欠かせないベレー帽が今季、多く登場した。そして、白いストッキングに合わせるのはカール・ラガーフェルドが“チルドレン パーティ シューズ”とよぶワンストラップを飾ったメリージェーン風のスニーカーだ。小ぶりなイブニングバッグや軽快なポシェットも明るいカラーパレットで高揚感を誘う。スカーフやコスチュームパールのネックレスなどアクセサリーもトッピングして、プレイフルなコーディネートに。

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© CHANEL

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© CHANEL

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© CHANEL

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クルーズコレクションの歴史を紐解く。

1919年、秋の終わり。ガブリエル・シャネルは、休暇を過ごすリゾート地やビアリッツをイメージした小さなコレクションを発表した。当時のメゾンの顧客たちは皆、バスクやリヴィエラなどを拠点にクルーズなどリッチなリゾートライフを満喫している女性たち。そんな彼女たちをターゲットにしてデザインされたのが、セーラースタイルのパンツやビーチウエア、そしてリラックス感のあるオープンネックシャツなど、エレガントでありながら、ストレスフリーなワードローブだ。これに感度の高い世界のモード誌が着目し、初めて誌面にも登場する。時は流れ、1950年代には規模を縮小していたクルーズコレクションだったが、1983年にアーティスティックディレクターに就任したカール・ラガーフェルドが復活させ再び重要なコレクションとなった。毎年、春が終わり、初夏が始まる頃、発表されるクルーズコレクションとしていまでも注目を集めている。

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キューバ共和国の首都ハバナで行われた、2016/17年クルーズコレクション。 © CHANEL

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古代ギリシャにクリエイションのヒントを求めた2017/18年 クルーズコレクションは、グラン・パレで発表された。 © CHANEL

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2018/19年クルーズコレクションのフィナーレ。 © CHANEL

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「ラ パウザ号」に乗船したセレブリティたち。

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シャネルのアンバサダーを務めるマーゴット・ロビー。 © CHANEL

今回も世界中のセレブリティが集まったシャネルのショー。クリステン・スチュワートやマーゴット・ロビーなど豪華な顔ぶれが揃った。リリー=ローズ・デップは「ウエストが絞られたストライプのアンサンブルが気に入りました。1960年代にインスピレーションを受けたマルセイユやサントロペの夏や海を連想させるルックのすべてがとても気に入りました」と語った。

texte : TOMOKO KAWAKAMI, graphisme du titre : SANKAKUSHA

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