シャネルのキーワード02 メティエダールと新しい才能。
シャネルを紐解く24のキーワード
今年もイエール国際モード&写真フェスティバルのパートナーを務めたシャネル。第33回となる今回もファッション、ファッションアクセサリー、そしてフォトグラフィーの3部門を志す若い才能が世界中から集結した。
フランス文化省により「芸術と歴史の町」として認定された、プロヴァンス最南端の町イエール。パリからは電車で約4時間半ほど。 photo : Anne Combaz
過去には、ヴィクター&ロルフや、現在サンローランでクリエイティブディレクターを務めるアンソニー・ヴァカレロなどを輩出した、若手の登竜門ともいえるこのコンペティション。シャネルは2015年から、イエール国際モード&写真フェスティバルを通して、若手アーティストの活動を支援している。
会場は、南仏イエールの旧市街を見下ろす高台に建つヴィラノアイユ。1920年代に建てられ、モダニズム建築のさきがけとなったノアイユ夫妻の邸宅は現在、カルチャーの発信地として活用されている。いまも昔も芸術家たちの心を掴む絶景を誇る、ヴィラノアイユに集まった若きクリエイターたちの作品をジャッジする審査員の顔ぶれも、それは華やか。今年は、ファッションはハイダー・アッカーマン、写真はベッティナ・ランス、そしてアクセサリーはクリステル・コシェールが、それぞれの部門の審査員長に就任。さらにシャネルのアンバサダーであり女優のティルダ・スウィントンやアーティストのルー・ドワイヨンなどが各部門10名のファイナリストの中からグランプリを選出した。
イエール国際モード&写真フェスティバルの会場、ヴィラノアイユ。イエールの旧市街を見下ろす高台に位置する。 photo : Anne Combaz
20世紀の芸術家たちが制作活動し、バカンスを過ごしたヴィラノアイユには、いまもフェスティバル期間中に多くのクリエイティブな才能が集まる。 photo : Anne Combaz
ファッション部門では、オランダ出身のデザイナーデュオ、Rushemy BotterとLisi Herrebrughが、そしてアクセサリー部門はジュエリーデザイナーのKate Fichard、Flora Fixy、Julia Dessirierがグランプリを受賞。シャネルは、メゾンが誇る最高の技術を持つアトリエの協力のもと、受賞者である若手デザイナーたちが手がける新たなコレクションの制作をサポートしていく。
今年ファッション部門の審査員長を務めるハイダー・アッカーマン(左)と、審査員のひとりルー・ドワイヨン(右)。 photo : Anne Combaz
Mot-clé 02 / シャネルのキーワード 02
メティエダール Métiers d'Art
フランス語で「手仕事の技術、芸術」を意味する言葉、Métier d’Art(メティエダール)。シャネルは2002年より年に1度、この言葉を冠したコレクションを発表している。カメリアや羽飾りのルマリエ、刺繍のルサージュに靴のマサロ、そして帽子のメゾン ミッシェルなど、シャネルがその卓越した技術に共感し、傘下に収めてきたアトリエたちの技術が結実したのがメティエダール コレクションだ。毎回、プレタポルテでありながら、オートクチュール並みのテクニックが散りばめられた贅沢なコレクションとなっている。
---fadeinpager---
カメリアや羽飾りのアトリエ、ルマリエの展示。
今年のイエール国際モード&写真フェスティバルでは、シャネルの傘下でカメリアや羽飾りのアトリエ、ルマリエのエキシビションも開催。デザインとクラフトマンシップ、そしてモードとラグジュアリーの関係性を掘り下げた。カッティングやエンボス加工、溶着、巻き加工、ほつれ加工、プリーツにはめ込み細工とルマリエが誇る卓越した職人技を披露。会場となったヴィラノアイユの部屋の中央にはルマリエが得意とするさまざまなテクニックを紹介するモノクロ写真が展示され、訪れた人々は、刺繍のワークショップなどを通して、シャネルのメティエダールを実際に体験できるなど、充実した内容に。
© CHANEL
© CHANEL
---fadeinpager---
豪華なゲストが、“クリエイティビティ”について語る。
さらにイエール国際モード&写真フェスティバル期間中には、シャネルのポッドキャストプロブラム「3.55」の収録も行われた。今回はモデルで女優のオードリー・マルネイがパーソナリティーを務め、ティルダ・スウィントンやルー・ドワイヨンなど、アート、カルチャー、ファッションの各界から多くのゲストを迎えて、スタイルやインスピレーションなどシャネルが大切にしているテーマについてインタビューしている。
イエールで収録された「3.55」には、ベッティナ・ランスやティルダ・スウィントン、ルー・ドワイヨンらがゲストとして登場。 © CHANEL
ティルダ・スウィントンが自身を「女優」ととらえない理由は? © CHANEL
ポッドキャスト「3.55 By CHANEL」はこちら。
texte : TOMOKO KAWAKAMI, graphisme du titre : SANKAKUSHA