香港はやっぱりすごい！　最新版の点心をどうぞ。

世界最高峰の広東料理店が集結する香港は点心の本場。美的なルックスはもちろん、高まる健康志向にこたえながらおいしさには一切妥協しないゲストを満足させるべく、日々進化を続ける代表的な3軒の最新点心。

ベジタリアンに捧げる、宝石のような蒸し餃子。

文華廳｜マンワー

由緒正しき広東料理の名店でも、ベジタリアンメニューを求めるゲストの声は高まるばかり。新時代の広東料理を牽引するシェフが披露するベジタリアン点心は、ハイジュエリーのような華やかさ。たとえば蒸し餃子。出来たてをサーブするため調理はシンプルにと、匠の技で半透明に仕上げた皮から、ビーツの赤がのぞくというデザイン。中に詰めた肉厚なキノコの食感と香りが見事で、肉を使わずとももの足りない印象がない美味な逸品。

左は「黒椒和牛酥」2個108香港ドル。軟らかく煮たダイコンを具にするのが伝統的な手法だが、代わりに黒コショウを利かせたオーストラリア和牛を使用。サクサクのパフと、カレー味もほんのり加えられた具が口の中で混ざり合うハーモニーがたまらない。右は、「紅菜頭珍菌素餃」3個 88香港ドル。ビーツと数種類のシイタケを具にした蒸し餃子。

香港を代表するホテル、マンダリン オリエンタル 香港の最上階にある。窓から広がるビクトリアハーバーの眺望がまるで風景画のように見える。博物館級の中国骨董を飾った重厚感を、ローズピンクが和らげて、瀟洒ながら居心地のいい空間。常に満席なので1カ月前には予約を。

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伝統にアレンジを加え、華やかに。

舎｜シャー

広東料理店の新顔は、デザイン感覚が冴える点心が自慢。香港の代表的点心である、プリプリのエビを包んだ「蝦餃」なら、皮を13回折り畳む定番の作り方はそのままに、皮にビーツの搾り汁と金箔を加えてアップデート。キュートな姿が、香港女子の話題に。アイデアあふれる同店のシェフは一流ホテルの広東料理店出身だけに、華やかな見た目と伝統を踏襲したぶれない味が魅力だ。

中央上から時計回りに、ローズゴールドのエビ蒸し餃子「香檳金蝦鮫」4個 62香港ドル、パンダの姿をしたキュートな黒ゴマ餡入りの包子「國寳芝麻包」3個 48香港ドル、ふわふわに仕上がったおなじみの馬拉糕（マーライゴー）を黒ゴマバージョンの生地にし、陰陽の模様に組み合わせた「太極馬拉糕」58香港ドル

オフィスビルやハイブランド店が軒を連ねるIFCモール内にある。広東料理店らしからぬエキゾティックなインテリアも楽しい。ハーバービューのテラスや、デザインにこだわったカクテルを出すバーも併設。点心アフタヌーンティーもあるので、ランチやディナー以外の時間帯でも賑わう。

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鶏肉の焼売に、野菜のパフ……創作点心の最前線はここ！

ジョン・アンソニー

19世紀にイギリスで活躍した中国人の名前を冠したこの店では、シェフが意欲的な点心を日々創作中。豚肉を食べられない海外ゲストのために、焼売をフリーレンジの鶏肉で作ったり、伝統的にはカリカリの揚げパンを柔らかい皮でくるんで作る点心は、揚げパンの代わりにソフトシェルクラブを入れてみたり。デザインも味も冒険的なのに、上手に味をまとめ上げるシェフのバランス感覚が冴えわたる。

中央：噛みごたえのある鶏肉の食感を生かした「雞肉燒賣」4個 55香港ドル。豚肉の焼売も選べるので食べ比べも楽しい。上左：レンコンと豚ひき肉、唐辛子の炒めもの「乾燒蓮藕」135香港ドル　右：植物由来の代替豚肉「オムニポーク」を具に使い、ホウレンソウで緑に染めたパフ「翡翠酥」2個 80香港ドル　右下：薄い皮を使ったチリワンタン「辣雲吞」65香港ドル　左下：中はソフトシェルクラブ、薄い皮はイカスミで水玉模様にし、食感と風味がおもしろい「軟殼脆蟹腸粉」125香港ドル

リサイクル建材を全面的に使ったモダンなインテリア。約400種類のジンを揃えたバーの人気も高い。

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※『フィガロジャポン』2019年9月号より抜粋