アイスを食べると頭が痛くなるのはどうして?

Gourmet 2021.08.24

アイスクリームや冷たいカクテル、かき氷を食べたり飲んだりした時に突然「キーン」と起きるあの頭痛。“アイスクリーム頭痛”という「そのまんま」な名前がついているそうだ。2人の神経科医がこの症状について説明してくれた。

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アイスクリームをバクバク食べても何も起きない人もいれば、ひどい頭痛が起きてしまう人もいる。 photo:Getty Images

冷たいデザート、シャーベット、キンキンに冷えたドリンクがおいしい季節。アイスクリームをバクバク食べても何も起きない人もいれば、ひどい頭痛になってしまう人もいる。その原因は何なのか。対処法はあるのか。モンペリエ大学病院の神経科医であり、フランス頭痛学会(SFEMC)のアン・デュクロ会長とパリのラリボワジエール病院救急頭痛外来の元センター長であり神経科医のドミニク・ヴァラドさんがこの“アイスクリーム頭痛”の謎を解明してくれた。

神経というよりも血流の反応

カフェのテラス席に座って氷がたっぷり入ったソーダをごくごく飲むと……アイタタタ。「まるで真冬に冷水に手を突っ込んだような感覚ですよね」とアン・デュクロさんは言う。そして多くの人は脳に痛みを感じているかのように額に手を当てる。

しかし、実際には脳が痛みを感じているわけではないそうだ。痛みは口蓋の血管が冷たいものと触れた時に起きる。「血管が一度収縮し、次に膨張します。この結果、三叉(さんさ)神経(顎周辺に末端がある神経)が刺激され、痛みという情報を脳に伝達し、頭痛が起きるのです」と神経科医は説明する。

ドミニク・ヴァラド先生によると、この不快な感覚は喉から始まることもある。「アイスクリームを食べると頸(けい)動脈(首の動脈)が急激に冷やされ、脳動脈を刺激し、それが頭痛を起こすこともあります」

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頭痛持ちが最もなりやすい

表情一つ変えずに何リットルものアイスを一気に食べられる人もいれば、棒付きアイス一口で痛みを覚える人がいるのはなぜだろう? 「その理由はまだ完全に解明されていません」とアン・デュクロ先生は残念そうに言う。

しかし、普段から頭痛が起きやすい人はこの急激な温度差に悩まされる可能性が高いと2人の神経科医の意見は一致する。フランス頭痛学会によると、人類の10~20%が頭痛に悩まされているそうだ。理由は様々で、体内で起きる変化(生理、感情、睡眠不足あるいは過多、胃にもたれる食事、アルコールの摂取)が原因であることもあれば、外的な要因(風、暑さ、嵐や台風)の場合もある。「頭痛持ちは全てにおいて敏感なので、他の人よりもあらゆる種類の頭痛に陥りやすいのです」

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ヒヤッとする感覚を避けるために、口蓋を温める

冷たいものに敏感な人には、猛暑でも冷たい物ばかり食べることはお勧めできない。アン・デュクロ先生によれば、多くの量を早いスピードで食べると頭痛の可能性は高まる。予防策としては、頭痛持ちの人は冷たい物を避けるよう先生は助言。可能な限り痛みを避けるには「最初の数口は冷えた口内が温まるようゆっくり食べて、口蓋を刺激しないようにしましょう。アイスを口に入れる直前に舌を口蓋にくっつけるのも効果的です」

冷たいレモネードを飲み過ぎて頭が痛くなっても、頭痛薬は効かない。「アイスクリーム頭痛は機械的で一時的な反応なので、神経の後遺症などは全くありません」とラリボワジエール病院救急頭痛外来の元センター長は保証する。5分から15分ほど待つのが最も効果的な対処法だ。そうと知ったなら、安心してゆっくりアイスを堪能しようではないか。

text:Marion Tabard (madame.lefigaro.fr)

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