「カウンター6席のみの小さな店なので、魚も大物より小魚中心に揃えています」。控えめにこう語るのは佐藤浩二大将。
その言葉どおり、18,000円のおまかせに登場する鮨タネは、江戸前鮨定番のコハダをはじめ、カスゴ(タイの幼魚)にサヨリなど小ぶりの魚が主力。イワシにしても、あえて小イワシを好んで選ぶほどで、いわく「脂ののった大きいものに比べ、小さいほうがイワシ本来の旨味を感じるから」だとか。さらに昆布で締めたり、塩を当てたりとひと仕事を加えることで、小魚特有の繊細な旨味を引き出している。玉ネギ醤油で漬けにしたサワラなどオリジナルの握りも秀逸。握りに向く北海道産古代米で炊いた鮨飯との相性も上々だ。
写真はすべて¥18,000の夜のおまかせから。左から、カスゴ、サワラの玉ネギ醤油漬け、佐賀のコハダ。
つまみは左から、青森のヒラメ、北海道のアオヤギ、塩茹でにした佐島のタコ。
蒸してからオイルに漬けた宮城県の牡蠣。ふっくらとしてミルキーなおいしさ。
鮨の日の11月1日にオープン。お値打ちなランチもおすすめ。
-gourmande memo-
こぢんまりとした店内は、明治時代のものという骨董の水屋箪笥が置かれ、落ち着いた趣を醸し出している。コースは、つまみが6〜7品は出るものの主軸はやはり握り。ざっと15貫が登場する。
*『フィガロジャポン』2019年3月号より抜粋
texte : KEIKO MORIWAKI, photos : YU NAKANIWA