植物を愛でてデザインに、 仕事と生活の心地よい関係。

Interiors 2021.08.29

COPENHAGEN
ヘレーネ・ブランシュテキスタイルデザイナー

コペンハーゲン市内から北に位置する、緑豊かな住宅街ヘレルップ。赤い屋根と白い外壁の家がテキスタイルデザイナーのヘレーネ・ブランシュの住まいだ。1900年代初頭のデンマークで一般的だったシンプルな外観に反して、内観はカラフル。リビングはイエローと深いブルーの壁に囲まれ、アールデコの家具、モダンアートやオブジェがバランスよく配されている。開け放たれた窓からは風が通り抜け、自然との一体感を感じる。ここは、ヘレーネがデザインに集中するアトリエでもある。

「初めて来る人は、家の外と中の雰囲気の違いに驚くみたい。このコントラストこそが、我が家のコンセプトです」 

夫婦ともに、色にこだわるアートコレクター。建物はデンマークらしいデザインなので、異なる国や時代のアートを室内に並べ、コントラストを楽しんでいる。また、子どもが作ったアートなオブジェも著名アーティストの作品と並べて飾る、そのバランス感覚も見事だ。 
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Home Atelier

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ダークブルーの壁にモノクロのフォトアートが映えるリビングルームは、ヘレーネのアトリエでもある。テラスの植物をインスピレーションにデッサンすることが多く、その日の天気によってリビングとダイニングの間を行ったり来たり。料理好きなので、仕事に区切りをつけたら、すぐキッチンに立つことも。

Helene Blanche /1977年生まれ。 セントラル・セント・マーチンズでテキスタイルデザインを学び、デザイナーへ。 ロイヤルコペンハーゲンなどとのコラボも。
https://heleneblanche.com
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大理石のテーブルは、デンマークの巨匠ポール・ケアホルムのもの。

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水彩絵の具で理想の色を探って。

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ヘレーネが夫とともに運営するインテリアショップ、テープウ・カフェは、オリジナルの壁紙やカーテンのセンスが評判で、コペンハーゲンのインテリア好きによく知られている。特に自然物を取り入れたパターンや手触りのよい布地に 定評があるが、その多くはヘレーネが手がけたものだ。

「幼い頃から、紙に模様やイラストを描くのが好きだった。 いまも水彩絵の具で色を探っていくのだけれど、それは私なりの審美眼を養う方法です」
オーガニックな自然物をパターンに取り入れるようになったのは、1960年代のアルネ・ヤコブセンによるボタニカ ルパターンを最後にインパクトのあるテキスタイルデザインが少なく、チャレンジしたいと思ったからだ。

「テラスの植物を手入れすることで、テキスタイルのヒントを得ています。カーテンに取り入れた深い紅色は、庭の楓の葉色からのインスピレーション」 
ストライプやドットのパターンや麻とシルクの素材など、心地よさと機能性のバランスを日々追求している。

「私のアールドゥヴィーヴルは、仕事や家族、暮らしにパッションを持つこと。時には失敗もするけど、そこからヒントを得れば、よりよいものを生み出せるから」

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Living Room

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アースカラーでまとめたリビングに、カラフルなモダンアートやオブジェで遊び心をプラス。右の小さなオブジェは子どもが手がけた作品。著名なアーティストのアートと子どもの作品を一緒に飾るバランス感覚を大事にしている。奥の赤いカーテンは、庭の楓の葉色をヒントにしてヘレーネがデザインしたもの。

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Bed Room

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ベッドルームの壁紙は、日本の絣の織り方をヒントにヘレーネがデザイン。ランプシェードもハンドペインティングで仕上げた。イギリスのリー・ジョファのカーテンは壁紙と同色のボタニカルカラーなので、パターンオンパターンでもシックにまとまる。キャビネットはアールデコのアンティーク。

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Art

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階段の壁に飾られているのは、デンマークのシュルレアリストの作品。ヘレーネも夫も、色にこだわってアートを収集している。落ち着いたダークブルーの壁との相性も抜群。

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Ceramics

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南仏風の中庭で、夏は毎日夕食をとっている。料理好きなヘレーネのキッチンには異なるテイストのテーブルウェアが並ぶ が、中庭のベンチにもデンマークで集めた陶器をアートピースとして飾っている。時代も作家もわからないけれど、鮮やかな色使いに魅せられて、いつの間にか収集していたという。

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In The Garden

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植 物を愛でる時間は、彼女のアールドゥヴィーヴルのひとつ。アトリエでの作業に疲れると、テラスの植物を手入れして気分をリフレッシュ。紅葉の美しい発色がいちばん好きなのだとか。

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「庭に面した大きな窓から自然光が入るのが、この家に決めた理由」と、ヘレーネ。心地よい家 には、友人や家族もよく集まってくる。

*「フィガロジャポン」2021年9月号より抜粋

photography: Rasmus Rønne editing: Chieko Tomita

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