「石本藤雄展-マリメッコの花から陶の実へ-」開催中。

デザイン・ジャーナル

1970年よりヘルシンキを拠点とする石本藤雄さんの大規模個展『石本藤雄展 -マリメッコの花から陶の実へ-』がスパイラルガーデンで開幕中。愛媛、京都で紹介されてきた作品の東京での紹介となるもので、6月30日(日)までの開催です。

マリメッコのテキスタイルデザイナーとして、400以上ものデザインを手がけられた石本藤雄さん。マリメッコを定年退職された後も引き続きヘルシンキを拠点として、陶器メーカー「アラビア」のアート・デパートメント・ソサエティにあるアトリエで、自身の作品にとり組んでいます。

190624-01.jpgPhoto: Sohei Oya (Nacasa & Partners), Courtesy of Spiral / Wacoal Art Center

伸びやかで色あざやか。石本作品の魅力はこのデザイン・ジャーナルでも何度か紹介してきました。今回もまた多くの皆さんにお伝えしたいすばらしい展示です。

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石本さんがマリメッコで最初にデザインした「クッカケト(花畑)」(1975年)に始まるファブリックの代表作は、樹木のような展示で紹介されていて、森を歩くかのように楽しめます。会場の一角にはデザインを手がける際に描かれてきた貴重な原画も展示されていました。

陶の作品では、レリーフのほか、さまざまな「実」が描かれた陶の皿の作品も多数。ぶどう、びわ、ヤマモモ、オレンジ、かぼちゃ、ヘチマ、みかん……。

 

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Photos: Sohei Oya (Nacasa & Partners), Courtesy of Spiral / Wacoal Art Center

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Photos : Chikako Harada / Fujiwo Ishimoto

従来の作品とはちょっと趣が異なるのが、ころんとした作品。夏にとれる「冬瓜」(とうがん)を表わした立体作品です。

190625-designjournal01.jpgPhoto: Courtesy of Spiral / Wacoal Art Center 

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今年2月、アラビアの工房で、石本さんにお会いできる機会がありました。その際に、この冬瓜作品の背景も教えてくれました。

「子どもの頃は冬瓜を知らなくて、フィンランドには冬瓜はありません。初めて目にしたのは数年前のお正月でした。友人たちと一緒に日本の宿に滞在していた時、白い紙の上にうやうやしく冬瓜が置かれていたんです。姿にまず惹かれましたが、食べてみると、これがおいしい(笑)。陶で表現してみたいと思いました」

4月にお会いした時には、東京での展示についてあれこれと考えているとのお話も。愛媛と京都の展示では、美術館の収蔵作品と組み合わせた展示がされていた冬瓜の作品。東京展では、素朴な藁のむしろの上に置かれ、ガラスばりの天井から差し込む自然光を浴びています。

190624-05.jpg久隅守景の『納涼図屛風』(17世紀)のような風景をつくりたかった、と石本さん。Photo: Sohei Oya (Nacasa & Partners), Courtesy of Spiral / Wacoal Art Center 

「初夏、とりたての冬瓜が農家の庭先に置かれているような風景でね、冬瓜がごろんと、くつろいでいるようにしたかったんです」。なるほど。たしかに、たくさんの実がくつろいで見えてきます。石本さんらしいのびのびとした世界がここにも。

道ばたの花の魅力や、美しい色についてなど、お会いするたびに身近なものの魅力を教えてくれる石本さん。その目がいつも見ている風景を今回もたっぷり感じられる展示となっているのです。

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会場の写真に加えて、2月、石本さんのアトリエで話を伺っていた際の私のスナップ写真も何枚か追加しておきましょう。一面の雪景色だったこの日。グレーだった空の表情がみるみる変わって、美しい夕陽が差し込んだ瞬間の窓や、その光に包まれたアトリエでの写真です。

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アラビア、アート・デパートメント・ソサエティにある石本さんのアトリエで。Photos : Noriko Kawakami

次の写真は東京展での石本さん。陶の花々の前で、「自分が吸収してきたのは琳派の世界なのだと、今回改めて感じたんです」と。京都、細見美術館での個展の際、美術館が収蔵する琳派の作品を改めて目にして思ったのだそうです。お気に入りは俵屋宗達だそう。

190624-10.jpg今回の展示作品を前に。Photo: Noriko Kawakami

ヘルシンキで日々周囲に目を向ける時間と、日本で生まれ育った感性と。極上の遊び心もあわせながら溶け合うことで生まれる作品の数々。たわわな実り。それらをたっぷりと味わえる展覧会です。

「石本藤雄展 -マリメッコの花から陶の実へ-」
期間:6月30日まで、スパイラルガーデン(スパイラル1階)
会場:東京都港区南青山5-6-23
入場料金:入場無料
「Suiden」(水田)のシルクスクリーンプリントの限定販売のほか、オリジナルグッズも多数販売
www.fujiwo-ishimoto.com

川上典李子 Noriko Kawakami

ジャーナリスト
デザイン誌「AXIS」編集部を経て独立。デザイン、アートを中心に取材、執筆を行なうほか、デザイン展覧会の企画、キュレーションも手がける。21_21 DESIGN SIGHTアソシエイトディレクターとして同館の展覧会企画も。
http://norikokawakami.jp

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