ボタンで表現された10作家の世界。
「ボタン展」、はじまります

「ボタン展 - 10人がおくる釦の展示会 -」がCASE galleryで開幕します。布地を留めるボタンに限らず、さまざまな「ボタン」が勢揃いします。

写真1.jpgPhoto: Courtesy of CASE gallery(他写真すべて)

今回、「ボタン」と聞いたとき、かつてルーシー・リーが陶やガラスでボタンをつくっていたことをふと思い出しました。細やかな表現はもちろん、釉薬の実験など、小さなボタン試みの大きなステージとなっていたことを......。さて今回、どんなボタンに出会えるでしょうか。展示作品は会場で購入できるそうです。

上の写真はフィンランドの陶磁器メーカー、アラビアの作家として活躍するヘイニ・リータフフタの作。彼女、「フィガロ」(雑誌版)8月号の北欧特集にヘルシンキ案内人(p.54)として登場していましたね!

写真2.jpg ジュエリーアートとしてのヘイニのボタン。

彼女がつくるボタンは身につけるアートとしての魅力に溢れています。先日、日本に滞在していたヘイニ。今回の出展作品について、こう語ってくれました。

「ボタンコレクションをつくっていますが、ボタンは私の作品のなかで最も小さな"ミニ・アートワーク"、進行中の他の作品と関連づけながら制作しているんです。今回も色を何層にも重ねる手法を活かし、絵付けをしました。ボタンでは遊び心を他の作品より発揮することができますね」

「これらのボタンももちろん、アラビアの窯で焼いてつくっています。ボタンとして使うだけでなく、ネックレスにしたりヘアアクセサリーにするなど、自由に楽しんでみてくださいね」

写真3.jpgヘイニ作。彼女の他の作品と。

マリメッコのファブリックも手がける、テキスタイルデザイナーの鈴木マサルさん。オリジナルブランド「OTTAIPNU」も人気です。そのファブリックが、今回、包みボタンに。

「OTTAIPNUの生地は柄が大きいのが特徴のひとつですが、その大きな柄を切り刻むことで新たな輝きを放つということが、なんというか、確かにあるのです。今回、おそらくは物としてなりたつ最小の大きさで切り刻まれた生地たちには、大柄とは違う不思議な魅力が宿ったように思います」

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写真5.jpg鈴木マサル作、包みボタン。

次の写真は、陶芸作家として活動している鈴木喬子さんのボタン。表情豊かであるだけでなく、柔軟な発想そのものにも驚かされました。

「スタックボタンです。通常のボタンとしてはもちろん、重ねたり、組み合わせることにより、変化を楽しんでいただけるボタンです。オブジェや小物入れ、穴を利用して植木鉢にも......」

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7.jpg鈴木喬子作、スタックボタン。

enamel.の石岡良治さんと石岡紗佑里さんは、二人らしく素材の試みを。

「グラフィッカルな生地を切りとり、新たな顔が見えてくるように、いろいろなマテリアル素材を使って、夜に光ったり、ファストファッションにはないような手触りであったり、そういうボタンを制作しました」

写真8.jpgつい触れたくなってしまう表情。enamel.の作品です。

マリメッコのファッションデザイナーとして活躍中の大田 舞さんは、今回、新たな才能を披露しています。「おおたまい」の作家名で、なんと漫画......?!

「楽しいボタンの表現の仕方は? と考えたとき、最初に思い浮かんだアイデアが、漫画を描くことでした。『ぼったん』とキャラクター名も思いつき、なんだか楽しくなってきました」

「主人公『ぼったん』と話ができたり、書き込みができたり、ゲームもできる参加型です。小学校のころ、自由帳にイラストを描いたり、考えたゲームをつくったり、友達と見せあって遊んだ思い出がもとになっています」

「話を考えるのと同時に描き進めていったので、ワクワクしながら描きました。15年ぶりにペンだこができました(笑)。小学校時代の友達のように、私の自由帳を気軽にのぞく感覚で読んでいただけたら幸いです」

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写真10.JPGおおたまい作「ぼったん」。限定部数の漫画本が販売に。

熊野 亘(わたる)さんは、プロダクトデザイナーらしい表現です。

「たまには脇役を主役に。ボタンと糸の関係は、紙とホッチキス、木板とクギといった関係とは少し違います。主役のボタンは糸なしには機能しません。そんな名脇役の糸が主役になるボタンをデザインしました」

「ボタン穴を通したときに出る糸の十字を使ってチェックのパターンをつくり、そのグラフィックでボタンが覆われています。チェックのパターンは糸を通す時のガイドとしても機能し、衣服につけた時にはワンポイントのアクセントにもなります」

写真11.jpg熊野 亘作。

参加作家10組、全員の名前を記載しておきましょう。

enamel.(石岡良治、石岡紗佑里さん)、おおたまいさん、モデルのKanocoさん、熊野 亘さん。鈴木喬子さん、鈴木マサルさん、陶磁器のブランド BIRDS' WORDS(富岡正直、伊藤利江さん)、ヘイニ・リータフフタ、イラストレーターの村田善子さん、オートクチュール刺繍 Lemmikko(柴田士郎、小川明子さん)。

ボタンの姿にまとめられたアートや、ボタンからひろがる発想の数々。
紹介される物語をたっぷり楽しんでください。



11月17日(土)〜12月16日(日)
CASE gallery(渋谷区大山町)
11:00〜18:00、入場無料
東京都渋谷区大山町18-23 コートアネックス大山町1F
TEL 03-5452-3171
mail@casedepon.com
https://www.facebook.com/case1823

* おおたまい(大田 舞)トークイベント
11月17日(土)14:30〜16:00頃(14:00より受付開始)
http://maiohta.com/

* enamel.クラッチバッグ製作ワークショップ
11月24日(土)、第1部 13:00〜15:00、第2部 15:30〜17:30
参加費:3000円〜5000円(サイズにより異なります)
各部定員10人、上記 CASE gallery まで予約ください
http://www.enamel.co.jp


他作家のホームページ
Kanoco http://www.barkinstyle.jp/
熊野 亘 http://www.watarukumano.jp/
鈴木喬子 http://kyoko-suzuki.jp/
鈴木マサル http://www.unpiatto.com/
BIRDS' WORDS http://www.birds-words.com/
村田善子 http://yoshiko123.jp/
Lemmikko http://lemmikko.com/

Noriko Kawakami
ジャーナリスト

デザイン誌「AXIS」編集部を経て独立。デザイン、アートを中心に取材、執筆を行うほか、デザイン展覧会の企画、キュレーションも手がける。21_21 DESIGN SIGHTアソシエイトディレクターとして同館の展覧会企画も。

http://norikokawakami.jp
instagram: @noriko_kawakami

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