春風が舞い込むナチュラルなテーブルアレンジ
~イースターカラーの花合わせ 前編~

花のある週末 2015.03.13

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三寒四温、寒さと温かさをいったりきたりしながら、一雨ごとに春めいてくる今日この頃です。
花屋さんでは、チューリップやラナンキュラスのような春ならではの華やかな球根花に続き、スカビオサやルピナスといった可憐な草花系の花たちがその存在感を増してきます。

永い冬の眠りから植物たちも目を覚まし、草原には花々がいっせいに咲き乱れる......春が訪れた彼の地をイメージしながら、ナチュラルで軽やかな野花の雰囲気の花々を選んでみました。

今日のアレンジには、季節のトピックスといくつかのトレンドの要素がミックスされています。

まず色について。
キリスト教では、"春分後の最初の満月から数えて最初の日曜日"が「イースター/復活祭」とされ(ちなみに今年は4月5日)、キリストの復活を祝う大切な祝祭日。生命や復活を象徴する卵=イースターエッグや、子孫繁栄の象徴としてウサギのモチーフがイースターのシンボルになります。クリスマスにはクリスマスカラーがあるように、イースターにも「イースターカラー」があり、白・黄色・緑・紫が代表的な色でそれぞれに意味もありますが、黄色×紫の組み合わせが定番のようです。キリスト教会の周辺の花壇には、黄色のスイセンや紫のパンジーなどイースターカラーの花々が植えられ、目を楽しませてくれています。

次に花について。
ファッションやインテリアの影響を受けながら、花にもゆるやかなトレンドがあります。2000年頃からしばらくの間は、ダリアを筆頭に、大輪でインパクトのある花や、濃厚な色合いの花が人気でしたが、ここ数年は白グリーン系の花、優しい色合いの小輪系の花々など、ナチュラルな雰囲気にトレンドがシフトしてきています。フラワーデザインも、パリで大流行の「シャンペトル(フランス語で田舎風)スタイル」という、摘みたての野花を束ねたようなデザインが日本でも注目されています。

そして、器について。
テーブルアレンジに使用している器は、大ブレイク中の「メイソンジャー」など保存用の瓶。ジャムの空き瓶などでもよいと思いますが、安価で丈夫な、どこか懐かしくてかわいらしい、そんなキッチンツールを活用しています。ガラス瓶を大小いくつも並べて少しずつお花を活けていますが、このように、数種の花器を並べて、いろいろな種類の野花をさりげなく活けるようなボタニカルな雰囲気のデザインが、今のトレンドでもあります。飾る際には、横長のトレーやテーブルライナーなどを花器の下に敷くと、コーディネートにメリハリがついておすすめです。

今回ご紹介するアレンジも、12本ほどの草花を使用していますが、花をぎゅっとひとつにまとめずに、そよ風が吹き抜けるようにふんわりと、草原に咲いている花を1本1本描くように活けています。鮮やかな黄色×紫ではなく、パステル系のパープルの花々に、ほんの少しのイエローや明るい黄緑色の花々が溶け込む、ソフトなニュアンスのイースターカラー......詩的なダスティパステルが今の気分だと思います。ブルーパープルのグラデーションから、一枚の水彩画のような優しい空気感が生まれ、テーブルに春風が舞い込んできたようで素敵ですよ♪

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【イースターカラーのナチュラルなテーブルアレンジ】

<材料>
(左下の画像、左から)
パンジー 1本
アネモネ 2本
レースフラワー 2本
ルピナス 2本
スカビオサ 3本
バイモユリ 2本
ビバーナム 1/2本 (写真外、上記写真右の黄緑色の花)
ガラス瓶 (右下の画像、左側はBall社のメイソンジャー、右側はWECK社の保存瓶) 大小4個
切花鮮度保持剤 適量
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<作り方>
1.花器となるガラス瓶に水を7~8分目ぐらいまで入れ、切花鮮度保持剤をそれぞれに適量入れます。木のトレーの上にガラス瓶を横に並べるように置きます。

2.花材はそれぞれ下葉をカットして葉が水に浸からないようにし、茎は斜めにカットして水がよく揚がるようにします。

3.アネモネ、スカビオサの5本の花を、上下リズムをつけながら、なるべく真っ直ぐにパラレル(平行)になるように活けます。スカビオサの茎はうねっているものが多く、花がまっすぐに立たない場合は、ガラス瓶の口元に花をひっかけるようにするとうまく立ちます。

4.パンジー、ルピナス、レースフラワー、ビバーナムを高さも花の向きもランダムに活け、最後にバイモユリを茎のラインが美しく見えるよう少し長めに活けて仕上げます。(ルピナスは花と葉の部分を分けて活けています)

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今回使用したお花について少しご紹介しましょう。

左上のアレンジ中央&右上の画像の花は「スカビオサ」、西ヨーロッパが原産の花で和名は「西洋松虫草」といいます。今時期からちょうど出荷量が増えてくる人気の草花で、秋頃まで出回ります。魅力はなんといっても風に揺れるような繊細な花姿と、ピンク~ボルドー~パープル系の絶妙なカラーグラデーション。一輪一輪、花の中にも複雑なグラデーションがあって小宇宙のよう!

右上の画像の奥の一輪のように、咲き進んでいくと花の中央が盛り上がってきて、花びらの表面に雌しべがでてきます。ですので、花屋さんで選ぶ際には、花の中央の花びらがまだぎゅっと締まったものを選ぶと、咲いていく花の変化を長く楽しむことができますよ。茎がひょろりと細く一見か弱い印象ですが、水揚げは良い花ですので、活ける際にちょっと元気がないかしら......という時は、新聞紙に巻いて茎を斜めに切ってたっぷりの水に少し浸けてあげれば大丈夫です!

そして、透明感のあるブルーパープルがなんとも美しい花は「アネモネ」。12月ごろから出回る春の球根花のひとつで、ラナンキュラスと同じ「キンポウゲ科」の植物、ガーデニングでもとても人気のある花です。カラーは、白、紫、赤色がありますが、最近は紫系の濃淡のバリエーションが増えたり、八重咲きや大輪の品種など、切花のバラエティも増えてきました。地中海沿岸が原産地で、名前の語源がギリシャ語で「風」を意味する「anemos」とされます。古くから人との関わりが深く、神話や伝説が数多く残る花。種に長い毛があって風に運ばれることから、また早春の風が吹く頃に咲くことから、「風の花」「風の妖精」とも言われています。薄絹のような花びらはふわりと揺れる妖精のスカート......!風の花アネモネ、愛さずにはいられない花のひとつですね。


最後に、イースターカラーのアレンジをもうひとつご紹介します。
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鮮やかなレモンイエローのラナンキュラス、紫と白は香りの花スイートピー、そして爽やかな黄緑色が美しい青い麦の穂。春の花を束ねたミニブーケですが、「Good Luck!」の意味が込められたブーケになります。

3月は春の訪れが嬉しい季節である一方、別れと旅立ちのシーズンでもありますね。
新天地に羽ばたく人たちへ、感謝と激励の気持ちを添えてお花を贈る機会も多いと思います。

スイートピーの花言葉は「門出」、「優しい思い出」。甘く清々しい香りが思い出とともに記憶に残ることでしょう。そして、春の息吹を感じる青い麦の穂は、"真っ直ぐのびやかに成長しやがて黄金に輝き豊かに実る"ことから、ヨーロッパでは「成功を祈る」縁起物とされています。大切な友や仲間を見送る時、そして入学や就職のお祝いの際にもぜひ、青い麦の穂をそっと添えてみてくださいね!


梅の高貴な香りの余韻に折り重なるように、懐かしくも切ない沈丁花の香り......私の中できっとこの香りは別れの思い出とともに心にしまった香りなのです。何気なく道を歩いていて、ふいに懐かしい花の香りに心揺さぶられる瞬間がありますが、そうして歳を重ねていくことも悪くないなーと思えるお年頃になりました(笑)。

そろそろ桜の開花が待ち遠しいですね! 今年はどこでどんな桜に出会えるか、今からとても楽しみです♪

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