ミキモト、Mのモチーフで魅せる南の海のパールたち。
いいモノ語り
時計とジュエリー、永遠のパートナーともなりうるこのふたつ。だからこそ、ブランドやそのモノの背景にあるストーリーに耳を傾けたい。いいモノこそ、いい物語があります。今回は、ミキモトのジュエリーの話をお届けします。
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MIKIMOTO
MIKIMOTO M COLLECTION
上から、リング「ミキモト M コレクション」(18KWG×ダイヤモンド×白蝶真珠)¥836,000、(18KYG×ダイヤモンド×白蝶真珠・ゴールデンパール)¥803,000/ともにミキモト(ミキモト カスタマーズ・サービスセンター)
はるか昔の人々は、月から滴った露を貝が飲むと、やがて貝は真珠を産むと考えていたという。また、雷雨の中で稲妻の光を浴びると貝が子を宿し、月の光に育まれてその子が真珠になるとも考えていたという。天空の月や光が、いつしかきらめく真珠になったと信じていたのだ。
そんな伝説を思い出させるような、神秘の美しさをたたえたミキモトのリング。エレガントなホワイトとゴールドカラーを纏ったパールは、ともに白蝶貝から生まれた真珠。南の海で育つ白蝶貝は、優しく澄んだ光沢が何よりの魅力。ゴールデンパールとも呼ばれる真珠は、本当に金色のように見える深い輝きで心をとらえる。
パールの存在感をフィーチャーしたこのリングは、名づけて「ミキモト M コレクション」。サイドから見た時のフォルムが、メゾンのイニシャル、Mのモチーフになっている。ころんとしたパールの形を、さまざまな角度から楽しめるようにもなっていて、パールにモダンな軽やかさをプラスしたデザインが見事だ。
パールの価値を決めるうえで大切なことは、光沢や形のよさ、そしてキズの有無。深い透明感のある艶やかさ、ゆがみのない丸いフォルムを持つこのパールは、養殖真珠のオリジネーターであるミキモトが厳しく選び抜いたもの。その肌には小さなキズひとつないかのようになめらか。豊かな海で育まれた、本当に上質な真珠なのだ。
古来、月と深い関わりを持つと考えられてきた真珠。満月のように明るく艶めく白蝶真珠を眺めていると、リングを通じて夜空のパワーが降りてくるように思えてならない。
*「フィガロジャポン」2019年9月号より抜粋
photo : SHINMEI (SEPT), stylisme : YUUKA MARUYAMA (MAKIURA OFFICE), texte : KEIKO HOMMA