「性教育」が必要なのは子ども!...の前に大人から。
Lifestyle 2021.08.30
お子さんや身近な子どもたちから「赤ちゃんって、どこからくるの?」と聞かれたら、うまく答える自信はありますか? 保護者自身が十分な性教育を受けてこなかったために、性に関する知識が乏しく、子どもに「何をどう伝えたらいいのかわからない」という人は多いでしょう。また、「性教育は学校で教わるもの」であり、「家庭で教えるものではない」と思っている人も少なくありません。保護者向けの性教育サイト「命育」の代表・宮原由紀の著書『子どもと性の話、はじめませんか?』(2021年 CCCメディアハウス刊)から、子どもを導く大人の心構えを抜粋してお伝えします。
性教育=セックスについて話すことだと思い込んでいませんか?photo: designer491_iStock
文・宮原由紀(性教育サイト「命育」代表)
子どもへの性教育を始める前に、教える側の知識はどうでしょう?
保護者のみなさんの中には、性に関する知識を「なんとなく」身につけた人もいるかもしれません。家庭や学校で詳しく教わっていない人も多いため、異性の体に起こる変化について知らないこともあるでしょう。性教育に関しては、これまで「なんとなく」身につけたことを疑ってみることが大切。性教育の知識をアップデートできないままだと、無意識のうちに子どもに対してNG行動をしてしまっているかもしれません。
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子どもに「性の話=タブー」とすりこんでいるのは大人
子どもからの性の質問は、ある日突然やってきます。このような質問をされたとき、あなたはどのように対応しますか?
「赤ちゃんって、どこからくるの?」
ストレートな質問にあわててしまうかもしれませんが、「まだ子どもだから知らなくてもいいことだよ」とごまかしたり、「そんな変なことを聞かないの!」と、たしなめたりするのはNG。
「こういう話は、聞いてはダメなことなんだ」と、子どもが誤ったインプットをしてしまうことも。また、子どもが「ごまかされた、ウソをつかれた」と感じると、性に関して困ったことがあったとき「お母さん(お父さん)には、相談できない」と思ってしまう可能性があります。子どもからの質問を受け止めることで、性=タブーなことではなく、「いつでも質問していいんだよ」というメッセージを送ってあげることができます。
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こんなことしていない? NG行動チェックリスト
ほかにも、気をつけたい保護者自身の行動があります。たとえば、次のような行動をしたことはありませんか?
・子どもがいやがっているのに、しつこく〝ちょっかい〞を出す
・子どもの前で裸になってふざける
・子どもの前であなた自身の体について不満を言う
・「男の子なんだから〇〇しなさい」「女の子なのに〇〇なの」と発言する
・テレビに出てくるタレントに対して「オカマ」「オトコオンナ」などと呼ぶ
これらがなぜいけないのかを、一度考えてみてください。性教育に関しては、保護者だからなんでも知っていなければならない、と思わなくても大丈夫。子どもから質問されたことに答えられないときは、「お母さん(お父さん)もわからないんだ」と伝えて、一緒に調べましょう。大人が子どもと一緒に考えることで、困ったときに相談できるよい関係性が築けるはずです。
このときに肝心なのは、男女どちらの性についても学ぶこと。なぜなら、異性について知ることで、異なる性を持つ人への思いやりや理解を深められるからです。子どもに伝えるときには、一方的に知識を押しつけるのではなく、「話の内容を子どもが理解しているか」「どう考えているか」を確認しながら進めることも忘れずに。
子どもと一緒に学ぶことで、性的同意や性欲に対する考え方など、保護者にとっても新しい発見があるはず。そして、自身の性や体についてポジティブにとらえられるようになるでしょう。
『子どもと性の話、はじめませんか? からだ・性・防犯・ネットリテラシーの「伝え方」』
\1,540(税込)
ある日突然やってくる子どもからの疑問、子どもの性への興味、性の会話を避けてきたまま思春期になってしまった…そんなとき、あなたはうまく対応できますか?テーマは、妊娠や避妊、性交だけでなく、自分のからだは自分のもの、防犯の知識(プライベートゾーン)、男女の体の違い、性的同意、急増している自画撮り被害、性の多様性・ジェンダー、ネットリテラシーのことまで……性教育ってとっても幅広い!
text: Yuki Miyahara