幸せのすずらん

5月1日はミュゲ（すずらん）の日でした。フランスの街がすずらんで溢れる日です。友人や家族、愛する人や大切な人にすずらんを贈り、すずらんを贈られた人には幸運が訪れるといわれています。友人達とはすずらんの写真とメッセージをメールで送り合い、パートナーからは前日に小さなすずらんの鉢を、１日は素敵なブーケをもらいました。清楚で可憐な花なのに香りはたっぷり。おかげで今部屋中が甘くやさしい香りで包まれています。

今日は仕事が休みだったので、友人を誘ってラテンアメリカ会館に併設されている魚料理専門のレストランRechへ行ってきました。一歩中に入るとサン=ジェルマン大通りの喧騒は消えて、聞こえてくる庭の木々の間を飛び交う鳥の鳴き声だけ。パリの街中にあるとは思えない静かな時間が流れています。

先日行ったカフェ・ラペルーズは海をイメージしたゴージャスな内装だったけれど、Rechは白を基調にシンプルですっきり。

実はこの場所、子供の頃に日本人がシェフを務めるフレンチレストランとして料理雑誌で紹介されていました。お城のような建物をバックに座っているシェフの写真を眺めながら、好奇心が強く食い意地が張っていた子供だった私は、食べたことのない本場のフランス料理の味をあれこれ想像しては憧れを膨らせていました。今でこそ多くの日本人がパリで料理人として働いていますが、30年以上前は非常に珍しかったのです。

でもパリに住み始めたときにはそのレストランは残念ながら既になくなっており、その後も何度かレストランの名前が変わったこともあり食事に来ようとは思いませんでした。でもつい最近のこと、フランス人のお客さんと話していたらなんと彼女は40年前にここで結婚式のパーティーをしたという。その後ブライズメイドをした親友とご主人の浮気が発覚して離婚。以来彼女はこの場所には近づかないそうだけど、それでも素敵な場所だからぜひ食事に行くといいわよと言ってくれました。

来てよかったなぁ。その日本人シェフはいらっしゃらないけれど、庭も建物も当時写真で見たままで長年の夢が叶いました。友人と美味しい魚を食べながら、ゆっくり色んな話をすることができて心地良い午後を過ごせました。

すずらんが幸せを運んできてくれたのかも♪