SPAC『マハーバーラタ ~ナラ王の冒険~』パリ公演
「ジャポニズム2018」企画公演のSPACの舞台『マハーバーラタ ~ナラ王の冒険~』の最終日を鑑賞しました。知人から絶対に観に行くべきだと勧められ、アヴィニョン演劇祭で観たというオランダ人俳優の友人も絶賛。この日を楽しみにして待っていました。
この日は雨が降り寒くて、昼ごはんの後のんびりしていて時計を見たら4時の開演時間の1時間15分前。自由席だったので、メトロじゃ遅くなるかもと慌ててタクシーに乗り、前日の燃料税引き上げへの抗議のデモで石畳が掘り起こされ火がつけられ暴動に発展した跡が生々しいシャンゼリゼを通り抜け、1時間前に会場のヴィレットに到着。おかげで前方の中央席に座ることができました。
※写真はSPACの公式サイトhttp://spac.or.jpより引用
客席をぐるりと360度取り囲むリング状の舞台。俳優による生演奏で、ナラ王とダマヤンティー姫の深い夫婦愛の物語が始まります。
役者の演技、音楽のリズム、躍動感、テンポの良さ、重厚で魅力溢れる語り、闇の中に美しく浮かぶ白の装い。まるで人形劇を見ているような、そして絵巻物を開いていくように次々と変わる展開にワクワクした気持ちで入り込みました。
ああ、ものすごく面白かったー!!!
フランス人が鑑賞することがちゃんと考えられていた点も良かった。
下段で演奏、上段の高い位置に設けられたリング状の舞台で演技、同じ高さに字幕板があり演技と字幕が同じ目線に入ってくるようになっていたのでフランス人にも分かりやすかったと思います。日本語の面白いニュアンスやジェスチャーの意味が全て翻訳されてはなかったけれど、阿部一徳氏の語りが素晴らしくて十分雰囲気を感じることができたのでは。さらに言葉のギャップを補うように、ちょくちょく挿入されるフランス語でのセリフや笑い。ダマヤンティー姫とダマヤン茶(ティー)をかけた静岡県のアピールのショートコント、いわゆるフランス語でいうスケッチ(sketch)が挿入され、フランス人の笑いを誘っていました。
拍手喝采。素晴らしい作品がフランス人の心を掴んだ瞬間。演出家の宮城聡氏も舞台に姿を見せてくれました。
一緒に行った観劇初心者のフランス人の友人も大感激。フランス語に訳されてなかった「ナラ王ナラ王ナラ王〜〜〜ナラオウナラオウ〜〜〜オナラオナラオナラ!」と悪魔のカリが繰り返しながら自分のお尻をペンペンと叩くシーンを解説。友人はオナラが我慢できなくてよくしちゃうので、そのシーンでポカンとしているのを横目に見ながら歯がゆかったのだ。
「オナラはいつもあなたがしている“ぺ”(フランス語でオナラ)のことよ。訳がなくて残念だったわねぇ。」
「le pet(ぺ)はオナラっていうの?これなら覚えやすいよ!」
というわけで、友人が人生で最初に覚えた日本語が “オナラ”になりました(笑)
悪魔カリが「セ・タン・カドー(C'est un cadeau!=プレゼントだよ!)」と言いながら客席に投げた手拭い。私の膝へポンと着地!嬉しかった(^o^)
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