オルセーとフランスの手仕事・名品の物語☆
今年もオルセー美術館(Musée d'Orsay)の年間パスポートを更新☆
今シーズンも楽しみな展覧会が目白押しです。
そんなオルセー美術館では只今ドガ展“Degas à l'Opéra”が開催中。
こちらも楽しみに出かけたいと思っています。
(2020年1月19日まで)
さて、オルセー美術館の中で好きな常設展のひとつが家具セクション。
アール・ヌーヴォーからアール・デコの作品の数々は単に家具ではなく室内を美しく飾る装飾品、芸術品としても見ていて飽きません。
いつ来ても人が少なめ、比較的空いていることもありじっくり鑑賞できるのも嬉しい。
絶妙な曲線、なんともスタイリッシュな直線、見入るほどに繊細で細かい装飾が施されていたり、宝石や貝殻を使っていたりで何度も見ている作品もその都度新鮮に感じられます。
今は機能的で安価な家具が多く、住まいや家族形態に合わせてどんどん買い替えたりもしますが、代々引き継がれるような家具もまた素敵だなと思う瞬間です。
ベルエポックな夢が見れそうなベット♡
でも私は夜中起きたら出っ張った脚につまづいて転ぶな、きっと…。
そんな妄想も楽しい家具がいろいろ。
そういえば私世代の友人の第一次結婚ラッシュの頃は、嫁入り道具な婚礼家具に桐ダンスや鏡台が要る要らない、本当は欲しくないけどご主人側の意向もなんだかんだあったりで友人たちとは面倒臭いね〜な話もしてたっけ。。
アンティークで美術館級のものは簡単に買えませんが、こういう色味がいい、デザインが好きと思うものはしっかり観察して、いつか似たようなものに出会えたら買い求めたいところ。
とにかく大きな家具から小さなオブジェまでフランスの歴史的工芸品の素晴らしさを感じる好きなセクションなのです。
そんなフランスの工芸品については、その背景もほとんど知らず眺めるだけだったのですが、この夏コメントでMさんに教えていただいた本「フランスの手仕事・名品の物語 〜マリー・アントワネットが愛した職人技」(石澤季里・著)を読んだことで知識が増えました。
お陰でフランスの手仕事に興味と、これまで見てきたものやこれから目にするだろうものがグっと身近にわかりやすく感じられそう!
現在も活躍中のメートルダール(人間国宝)な職人さんに取材し、その歴史的経緯と価値をわかりやすく説明した1冊。
その項目は、家具、刺繍、レース、傘、靴など12の品々。
「へーー!」と頷き、それぞれの品々に関する教養と雑学を得られる楽しい内容でした。
ネタバレになるのでここに多くは記しませんが、特に興味深い章は思わず2度読み。
強烈な纒足(てんそく)話(想像しただけで大足の私にはイタタタタ!)、靴とモード、靴と足とエロティズムな関係などを記した靴の章。
「扇」はただのアクセサリー小物ではなく、厳密なマナーに則った扇作法、扇言葉があったそう。
大きく開けば「待っててね」、左手で仰げば「見つめ合いましたね」、右手で仰げば「あなたではなく他の人が好きです」、開いて左耳を覆ったら「二人の秘密を漏らさないで!」などなど。
またレースの章では、ヨーロッパのレースの起源がヴェネツィアであることが説明されていましたが、それについては私は以前ブラーノ島の「レース美術館」で実際に職人さんたちが編んでいるところを見たことがあったので時代的背景を含めてその発展はよくわかり、更に知識が深まりました。
(関連ブログ→ https://madamefigaro.jp/paris/blog/keico/51890613.html )
(ついでに2度目のブラーノ島→ https://madamefigaro.jp/paris/blog/keico/burano.html )
(大好きになって3度目のブラーノ島→ https://madamefigaro.jp/paris/blog/keico/no-3.html )
そして今、ブラーノ島で買った手仕事のレースは額装して東京の家に飾っています。
当時「これを編めるのは今はここにいる〇〇おばあちゃんだけなんですよ。他に引き継ぐ人はいなくて…」
そんなお話も聞いたもののなかなか高価なので迷いましたが、今となっては買ってよかったと思っています。
つくづく伝統の手仕事は素晴らしく、機械織りレースとの違いは歴然で、ちょっと目が肥えた気も?!
それに綺麗なものを見ると気持ちもキレイになる気がして日々眺めてはうっとりしてます。
この本をきっかけに、もっとフランスはじめヨーロッパの手仕事の美しい名品を鑑賞したいと思いました。
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