赤もイケる、オーストリア産☆
チュルス村のこのホテルは今年で4度目ですが、以前
「アガサクリスティーの世界みたいですね」
というコメントをいただいたのですが、まさにその通り!!な言葉に尽きます。
(↑ラウンジ)
代々家族経営で引き継がれてきたホテルは、おそらくホテルの内装と雰囲気は創業当時からほとんど変わっていないのだと思われます。
もちろん今はWi-Fiなど問題なく、エステやプール・フィットネスルームはモダンですが、それ以外は基本とてもクラシック。
そしてそこに集まるお客さんは約8割がリピーターで、家族2代、3代に渡って冬のバカンスを楽しむお客さんが多いのです。
(↑ロビーで話し込む普段着のガイドのヘリーと長年のホテル顧客の一人ハラルドさん)
20〜40年も通っていると言うご年配のムッシュ&マダムも多く、名探偵「ポワロ」みたいなムッシュが何人もいる!?
そんなポワロ似のムッシュが頭にネットを被って、お髭を撫でながらガウン姿でブランデーを嗜んでいる…そんな光景が容易に妄想できてしまうシチュエーションです。
(↑アンティーク家具、カチカチカチと時を刻む鳩時計)
集まるゲストもギラギラした派手さや、見てすぐわかる全身ブランドづくしな方はいらっしゃらず、皆さんシックな装い。
そんなゲストの中で、4年前に初めて見た時から気になっているのが子供嫌いな孤高の紳士フリードリヒさん。
今年もいました!
(過去3話に遡るのフリードリヒさんエピソード… https://madamefigaro.jp/paris/blog/keico/beautiful-snow.html )
K「ブログ登場はお願いできないから描いて見た!どう?」
夫「・・・。幼稚園児並みの絵だな。」
180センチ近い長身でスレンダーなフリードリヒさんは、メガネをかけ、朝は新聞、昼&夜は雑誌か本を小脇に抱えてダイニングにやってきます。
ホテル内はもちろん、小さな村チュルスでは彼を知らない人はいないとか。
秘かに「クワイエット・マン」と周りから呼ばれている彼は30年以上、毎年この村でバカンスを過ごし、定年退職を迎えてからは1ヶ月間も滞在しているそう。
私が知ってからは基本一人。そして子供が嫌い、パーティーが嫌い、うるさいのが嫌い。
小さな子供が近づくとシッシッと追い払い、グループ客が騒ぎ出すと食事の途中でも部屋に帰ってしまう。
夫「ペンかせ、俺が描く!」
と、描いたフリードリヒさん。ま〜、雰囲気は出てます。決して普段笑うことはなく終始シリアス顔なムッシュ。
そこにいるだけで威厳が漂い、周りの空気がキーンと張り詰めてしまう彼は、このホテルの一番古くからのゲストということで、常連客は彼に気を遣い、言葉をかけに行きます。
でもフリードリヒさんは、そんな社交が大嫌いのようで、ある日、自分のテーブルのトイメンの椅子をホテル従業員に命じて取り去ってしまいました。
となると、彼の元へ誰が挨拶へ行っても座って話し込むことはできず、せいぜい二言三言で終わり。
聞けば彼は早くに奥様を亡くし、その後もずっとお一人でこの時期にやってきているそう。
静かに自分の思い出に浸りたいのかもしれないな、と。
(↑ダイニングルーム)
夫「なんとなくフリードリヒさんの気持ちはわかる。放っておいて欲しいし、一人は一人なりに楽しんでいるんだと思う。俺も一人ならああいうバカンスの過ごし方ありかも。」
K「え?私は一人なら来ない。このホテルは基本的には賑やかで家族ずれも多いから一人静かにってことが難しいと思うけど。」
夫「ここには想い出がいっぱいあって一人でも寂しくないんじゃない?」
K「いつかフリードリヒさんがみんなと話す日は来るのかな?」
夫「多分、ない。」
ないと言われると挑戦したくなるのがマダム・ケーコ。
K「決めました!フリードリヒさんと挨拶以上の今日はどんな日だったか話ぐらいできる関係になります。」
夫「どうやって?」
K「まずはコーヒーをこぼしてアタックするとか?」
夫「余計嫌われるだろ。。」
難しい。。小賢しいことを頭で考えても無理だし、お節介だ。。
強引で、土足でズカズカ来るような人は私も好きじゃないから、やはりここは相手を尊重することを第一に、いつか彼とお話しできる日がくればいいな…と思う今日この頃です。
さて、今宵も独りで食事をしているフリードリヒさんを視線の遠くに眺めながらのワイン選び。
ここでの滞在中はソムリエの意見を参考にオーストリアワインを色々試そうと決めています。
飲みきれないワインは翌日に持ち越せるので、2日で1本ちょっとのペースで飲んでます。
すると初日はイマイチだったのに翌日に深みが増すワインもあれば、初日は美味しかったのに翌日はスカスカした味わいで薄くなるワインもあり、そんな変化も楽しい。
そしてこの村に来るまでオーストリアワイン=白ワインのイメージでしたが、赤が結構美味しいのです。
それにフランスワインに比べると値段もリーズナブルなことも嬉しい。
オーストリアワイン、旨し!
ただどうにも単語が読めないので地葡萄品種や造り手さんの名前が全く覚えられず、こうしてエチケットを絵として記憶するのが精一杯。
パリに戻った後にも飲みたいと思い、隣村レッヒにワインを買いに出かけかました。
それにしてもわからない。造り手はもちろん葡萄品種も値段もバラバラ。
もうちょっと下調べしてから来るんだった…。
ホテルで飲んだワインを思い出しながら、あとはお値段を見ながら選ぶしかない。
ブルゴーニュスタイルのワインでとても美味しかったこちらを1本買ってみました。
パリで雪山を思い出して飲みたいと思います。
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